研究概要 |
2つの自己組織システムと思われるモデルを構成して,自己組織化の可能性を考察した。複数の基本動作を試行錯誤的に組合せて合目的的行動を自己形成させるとき,構造の中にエネルギ-最小の平衡状態を“本能"として与えておくだけで,自己組織的に望ましい行動パタ-ンを獲得することが確かめられた。また,いろいろなロボットが構成できる部品群を用意し,部品のつながり方を指示する設計情報を部品に分散させておき,その情報をコントロ-ルする“システム記述"を与えることによってそれに応じたロボットができていくことが確かめられた。これらの考察から,自己組織システムがもつべき特質として,可塑性,継続的に変化する性質,安定状態または平衡状態があること,外のシステムとの干渉があること,などが抽出できた。 大規模なシステムは分散型の制御をする方が,設計も容易で,またサブシステムの追加,削除も柔軟にできるし,複数の制御装置のうちの何台かが故障してもシステム全体は安定に動作するという耐故障性の向上にもつながる。線形系に対するこのような分散型制御系の安定化補償器の設計法,逐次サブシステムが追加される場合に追加すべき補償器の設計法,ロバストな分散型サ-ボ系の設計法などについて理論的結果を導いた。 自律分散システムの機能と構造の関係を明らかにするのに先立って,“機能"という概念そのものを考察し,機能が“〜を〜する"という形式で表現されること,工学一般で考えたときその目的語には物質とエネルギ-と情報の3種が考えられること,他動詞には2点間あるいは2状態間をつないで,伝える,輸送する,移行させるというものと,2点間あるいは2状態間を遮断するというものとの2種が考えられること,したがって目的語3種に他動詞2種,組合せて6種の機能に分類整理できることを明らかにした。
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