研究概要 |
本研究の目的は自律分散システムを多数の適応システムが結合した分散型適応システムとして,とらえることにある.本年度は,分散型適応システムの構成要素である適応システム単体の特性および分散適応システムと自律分散システムとの関わりの二点に絞った研究を行なった. 前者については,計算負荷が少ないハイブリッド適応制御およびモデル化誤差に対して強いロバスト適応システムの研究を行なった.ハイブリッド化は分散適応システムの解析の簡略化をねらったものであり,ロバスト化はサブシステム間の結合を吸収するための研究である.この結果,両者の基本的な特性が明確になった.この成果は複数の論文として公表している. 一方,適応システムと自律分散システムとの関係の基本的な部分は本重点領域研究総括班のNews Letter「自律分散」に報告した.この報告にそって,購入した計算機(Macintosh)上で,構成要素を二つしか持たない最も基本的な分散型適応システムを作成し,自律分散システムの独自の特性(耐故障性,自己組織機能,自己修復機能)を持つか否かを検討した.この結果,作成した分散適応システムが自律分散システムとして見做せることがわかった.また,理論的な解析より,この分散適応システムが耐故障性などを持つための条件を明らかにした.これらの成果は本年7月に開催される計測自動制御学会学術講演会(SICE'91)における自律分散システムの特別セッションで公表する予定である.
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