研究概要 |
本研究ではソフトウェアの構成プロセスをいくつかの代表例に焦点をしぼっていろいろな方法で解明すると共に、それを記述するための言語体系の満たすべき条件の整理、それらの実働化実験としてプロセス実行支援系のプロトタイプの試作などを目的としている。 鳥居らは、主としてプロセス記述言語PDL(Process Description Language)の設計とその言語プロセッサのプロトタイプの試作、試作システム上での種々のソフトウェア構成プロセスの記述を行なってきた。また、比較的大きな自由度を持つ開発作業の構成プロセスを書くために、文脈自由文法を用いて作業系列を記述する方法を提案した。 落水らは、大学生4名を被験者として設計プロセスの実デ-タを収集しその結果を仕事の手順、利用した経験、知識格納に利用する記憶構造等の種々の観点から分析した。さらに、上記の実験で得た知見に洞察を加え、ソフトウェアプロセスに関する知識の型を、前向きの実行制御知識、オブジェクト知識、後向きの実行制御知識として分類した。 筧らは、学生演習程度の小規模プログラムを対象にして、その構成プロセスの解明にあたった。モデル化への手懸りが得やすいことを考慮して、問題となるプログラムの仕様を論理式で与え、プログラム正当性の検証作業と並行してプログラム構成を進めていく方式を採用した。 谷口らは、,実際に代数的言語によるソフトウェアの開発例を通して,ソフトウェア構成プロセスの解析を行った.対象とするソフトウェアの例としては,酒屋の在庫管理問題を取り上げ,代数的言語ASL及びASLに対するプログラム開発支援システムを用いて,実際に要求レベルの仕様からプログラムのレベルまで段階的に記述,検証を行った。 菊野らは、実際のソフトウェア開発から収集したデ-タを信頼性の観点から定量的に評価し,その結果に基づいてプロセスの改良を試みた。各プロセスで実行される作業手順を整理し,作業手順の各ステップで生成されるプロダクトに関するデ-タを収集した.そのデ-タの評価結果に基づいて,各プロセスのあるべき姿を検討した。
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