研究課題/領域番号 |
02250222
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森島 績 京都大学, 工学部, 教授 (50026093)
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研究分担者 |
石森 浩一郎 京都大学, 工学部, 助手 (20192487)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1990年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 金属置換ミオグロビン / 光誘起電子移動 / 活性化体積 |
研究概要 |
本年度は亜鉛置換ミオグロビンにおける光誘起電子移動反応について検討を行なった。電子移動反応はアミノ酸に部位特異的に結合させたルテニウム錯体と亜鉛ポルフィリンの間で行なわせ、その電子移動過程の速度と活性化体積を求めた。ポルフィリン中心から約15オングストロ-ム離れたヒスチジン48にルテニウム錯体を結合させたときの電子移動速度は約5_x10^4s^<ー1>、活性化体積は約1cm^3mol^<ー1>であるのに対し、20オングストロ-ム離れたヒスチジン81にルテニウム錯体を結合させたときの電子移動速度は約50s^<ー1>と非常に遅くなり、一方、活性化体積は約11cm^3mol^<ー1>と非常に大きな値を示した。電子移動過程の速度は電子移動反応の起こりやすさ、つまり、電子移動に適した蛋白質構造への変化のしやすさを示しており、速度の遅い遠距離間の電子移動では電子移動に適した蛋白質構造になりにくいことを示唆している。活性化体積は一般には蛋白質の動的な構造変化を反映しており、本研究の結果は電子移動の距離や位置環境によって電子移動の際の蛋白質の動的構造変化が大きく異なることを示している。特に、電子移動時の活性化体積が正の符号を持つことは、電子移動に伴う蛋白質の構造変化が体積の増加する方向にあることを示しており、電子伝達のメカニズムを考えるうえで非常に興味深い。今回用いたミオグロビンはウマ由来のものであるが同時にアミノ酸置換を施したヒトのミオグロビンについても同様な実験を行なっており、さまざまな電子移動距離、位置環境にあるヒスチジン残基を導入し、その電子移動速度と活性化体積を評価することにより蛋白質内における電子移動反応のメカニズムに対して検討する予定である。
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