研究課題/領域番号 |
02251201
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 正 東北大学, 理学部, 助教授 (60004503)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 半導体量子ドット / 半導体微結晶 / 励起子 / 量子閉じ込め効果 / 励起子コヒ-レンス / 超輻射 / 光学非線形性 / 励起子分子 |
研究概要 |
1.波長可変色素レ-ザ-を用いて、CuCl量子ドットのサイズを選択して光励起し、励起子発光のピコ秒時間分解測光を行なうことにより、輻射寿命の量子ドットサイズ依存性を求めた。その結果、励起子輻射遷移確率が量子ドット体積に比例して変化することを見出した。この現象が、量子ドット全体にわたって励起子コヒ-レンスが保たれるとしたときの励起子超輻射現象と定量的に一致するを初めて示した。 2.励起子コヒ-レンスの持続時間を現わす励起子横緩和時間のサイズ依存性を知る目的で、励起子状態幅のサイズ・温度依存性の測定をサイズ選択励起下での励起子共鳴発光を用いて行った。量子ドットに特徴的な現象として、サイズ減少とともに表面散乱の寄与が増大するとみられること、また音響型格子振動と励起子との相互作用もドット体積の(ー2/3)乗で増大し、相互作用が短距離的であることを反映していることがわかった。また、77K以下、ドットサイズ10nm以下であれば、離散準位間の間隔が均一幅よりも広くなるため、量子ドット全体にわたるコヒ-レンス状態が実現されることも示された。 3.励起子光学非線形性を知る目的で、励起子吸収帯の強励起下で生じる励起子状態のナノ秒過渡吸収変化を測定した。励起エネルギ-位置にホ-ルが生じるとともに、低エネルギ-側に吸収の減少、反対側に吸収の増大が特徴的にみられた。強励起下での発光スペクトルとの対比から、量子ドット中に生成された複数個の励起子間の強い相互作用によって生じる励起子光学非線形性であることが明らかとなった。 4.励起子コヒ-レンスと光学非線形性の増強との関係については結論が得られていないので、今後、非線形性のサイズ・温度依存性,フォトクエンチングを利用した緩和時間の制御などにより、量子ドットにおける光学非線形性の実体を更に明らかにしていきたい。
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