研究概要 |
はじめに予備的な段階としてき裂の弾性衝撃問題を対象に,動的ラインスプリングモデルという独自の解析手法を導入し,解析を実施した。さらに同モデルを弾塑性問題にまで拡張し,き裂の弾塑性衝撃応答を解析した。これらを踏まえ,準ぜい性材料における非線形非定常衝撃波動と衝撃波形成・伝ばの一次元問題解析と内部発熱と塑性ひずみ速度依存性を考慮した一軸構成則の検討を実施した。成果をまとめて以下に列記する。 1.準ぜい性材料における非線形非定常波動伝ぱの一次元問題を扱い,連続体損傷材料モデルに基づく解析手法を考案し,Westerly花崗岩を例にとり衝撃波形成過程を解析した。これにより以下の結果を得た。すなわち棒材の一端に圧縮波を入射し,それが反射して引張波が発生すると,やがてマイクロクラックが形成され,波動伝ぱ速度が小さくなる。ひずみが最大値をとる位置まではその後方に比べ波動伝ぱ速度が小さくなることに起因して,衝撃波の形成過程が進行することを明らかにした。 2.公称ひずみが60〜70%程度の大ひずみ域で,10^4sec^<ー1>程度の高ひずみ速度域を対象として,Malvern型の塑性ひずみ速度依存型構成則を補足・拡張した一軸構成則の形式を決定した。さらに同構成則の検証を目的として,構成式の時間特性を,鉛の試験片とイメ-ジ・コンバ-タ・カメラを用いて検討し,一次元縦衝撃の数値解と比較した。その結果,解析は一次元を基礎として行っているため,衝撃端近傍では実験値と計算値は一致しないが,衝撃端から約20mmより後方においては両者はよく一致することを確認した。これにより本構成則は,大ひずみ域で発生する,固体内を伝ぱする衝撃波の挙動を検討する際の構成則として妥当であることを明らかにした。
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