研究概要 |
ボルツマン方程式による強い衝撃波の構造に対する理論的な研究を行っている。ボルツマン方程式のもつ非線型性故にこれに対する数学的研究はかなり難かしいものである。我々の本年度の成果は次の通りである。 1.マッハ数が大きい場合のボルツマン方程式の近似解として,MottーSmith解があり,これに関しては桜井(J.Fluid.Mech.1951)等の研究があるが,今回これをより詳しく調べ,得られる結果を改良発展させた。つまりMottーSmith解の速度に関する一様評価を得た。この結果は,それ自身の興味もさることながら,ボルツマン方程式に対する理論的研究の今後の発展にとって不可欠なものと思われる。尚,この結果は「Estimate of error in the Boltgmann equation for MottーSmith solution for a shock wave」として物理学会誌に投稿準備中である。 2.上のMottーSmith解のもつ性質を利用して,ボルツマン方程式の真の解の存在証明を研究中である。即ち,マッハ数の大きい場合,真の解をMottーSmith解からの摂動として見出す事を考えている。これは来年度の大きな課題である。 3.研究集会等について。 以下のシンポジウム(1)(2)において,各々「強い衝撃波に対するボルツマン方程式の解」,「衝撃波に対するボルツマン方程式の解」と題する講演を行った。(1)衝撃波シンポジウム(国立教育会館,平成2年12月11日〜13日)(2)「科研費ワ-クショップ」(岡山県倉敷,平成3年1月15日〜16日)。 また,研究集会「ボルツマン方程式の解」を平成3年3月16日〜17日,東京電機大学にて主催した。これには工学者,数学者等の出席を得て,活発な討論,話題提供が為され,今後の研究の方向,すすめ方等に関して大きな知見を得た。
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