研究概要 |
本研究の目的である金属/絶縁物・半導体の人工格子構造物質として、FeーSi/ZnSe、FeーZrーN/AlNおよび(Fe,FeーSi)/(SiーN,AlN,SiO_2)をとりあげ、試料作製、ブリルアン散乱分光、高周波特性等について研究した。結果は以下のようである。 1.FeーSi/ZnSeの(111)の配向構造の軟磁性について、透磁率の周波数特性の理論計算から、少なくとも2000程度の透磁率が得られることがわかった。しかし、ZnSeの厚みが薄くなると、FeーSiの(111)配向が劣化することがわかり、ZnSeの厚みは50A^^°、FeーSiは100A^^°以下にはできなかった。 この構造で総厚み1μmとしたものを作製すると、FeーSi500A^^°で最も強い(111)配向が見られ、透磁率は1700となった。また、周波数に依存しない特性が得られた。この結果は理論計算の予測をほぼ一致し、人工格子化による結晶配向制御が有効である事が実証されたが、ZnSeに替わる配向膜を捜す必要がある。 2.FeーZrーNの超微粒子薄膜を配向させるためAlNを使った積層膜を作製した。FeーZrーNは50A^^°、AlNは5A^^°まで透磁率の向上が見られた。しかし、FeーZrーNは25A^^°以下では微結晶状態でなくなり、透磁率が低下した。AlNは(110)面の成長を促し、(111)面の効果は見らられなかったが、極めて薄い状態まで透磁率向上が寄与する事がわかった。 3.ブリルアン散乱分光により、(Fe,FeーSi)/(SiーN,AlN,SiO_2)の二層膜について、SiーN,AlN,SiO_2を数A^^°まで薄くし、上下のFe,FeーSi膜の磁気的相互作用を調べた。SiO_2は20A^^°、SiーN,AlNは5A^^°まで、静磁気的結合を示し、2.の結果を説明している。しかし、SiーN,AlNは5〜20A^^°で定在波に異常がある。
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