研究概要 |
1)金属人工格子の生成過程を明らかにする目的で,Feスパッタ膜の成長初期過程を電気抵抗のin situ測定により研究した.その結果,Fe膜の比抵抗は成長初期30Aまでは核の二次元成長によって指数関数的に減少し、その後100A位まで島状に発達してから連続膜へ移行することが分かった。比抵抗のアルゴン圧力依存性を明かにし、結晶粒成長機構に関して知見を得た。 2)界面の平滑な高品位の人工格子膜を作成する目的で,ArFエキシマレ-ザ(波長193nm、パルス幅17nsec)の光エネルギ-によるアブレ-ション法によりFe薄膜を作成した。高繰り返し周波数で作成したFe膜は結晶性が良く、高保磁力を示した。これはFeーN相の形成と関係していることが分かった。 3)Co/W多層膜の磁気的微細構造を強磁性共鳴により研究し、各層内の磁気モ-メントと磁気異方性,および界面の磁気的状態を評価した。その結果,Co層の表面では表面磁気異方性が観察され、この異方性は低温では若干増加することをいだした。Co層とW層との界面にはCoーW合金が形成されており,そのキュリ-点は室温より低いことが分かった。 4)磁気光学力一回転角および一楕円率ヒステリシス曲線を光弾性変調器を用いることにより0.01度の精度で測定した。さらに電子構造に関する知見と分光学的デ-タの蓄積を図る必要がある。 5)単原子〜数原子層の磁性層の磁気的振舞い,及び層間の磁気的相互作用を磁区構造観察により研究した.10nsecのパルス磁場を用いて磁区チョッピングすると直径の異なる微小バブル磁区が存在しうることを見いだした。
|