研究分担者 |
山鳥 重 兵庫県立姫路循環器病センター, 神経内科, 部長
平井 有三 筑波大学, 電子・情報工学系, 助教授 (80114122)
中野 馨 東京大学, 工学部, 助教授 (30010953)
小野 武年 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50019577)
大森 隆司 東京農工大学, 工学部, 助教授 (50143384)
|
研究概要 |
実験的な手法と,モデルによる研究との両面から,脳における学習・記憶・思考などのメカニズムを調べた. 実験的手法では,サルに食物や非食物,報酬または罰と関連する種々の感覚刺激を呈示し,学習行動へ応答様式を調べた結果,扁桃体には,外界刺激の情動的意味づけに関係するニュ-ロンが存在し,海馬体には,物体と空間の連合的認知や物体の再認過程に関与するニュ-ロンの存在することが判明した. また,ヒトの記憶について,左側頭・後頭葉病巣を持つ1症例で日常物品の意味理解が不安定化している事実を発見した.これまで解明が遅れていた意味記憶の神経基盤解明のための手掛かりになることが期待される. 一方,モデルによる研究では,記憶学習に関連した種々の機構に関するモデルを作成した. 1.先に発表した選択的注意機構のモデルに,メンタスキャニングに相当する機構を追加して新しいモデルを構成した.このモデルは,英文筆記体の文字列から1文字ずつ切り出して認識していく能力などを持っている. 2.言葉の組合せから,それに対応した図形を想起・変形するモデルを構築した.モデルは特微層と認識層からなる.認識層からの図形の名前と,それが満たすべき制約を与えることにより,認識ー特微層の間のぼかしを含む連想と特微層の局所的な連想によって,それに対応する図形を生成する. 3.エピソ-ド記憶のモデルを構成する上で欠かすことのできない,例外を含む意味ネットワ-クのモデルを構成し,What型とyes/no型の質問応答をPDMディジタルニュ-ラルネットワ-クで実行させた. 4.連想記憶回路網によって簡単な図形の形・色・大きさの図形を試行錯誤して描くシステムを試作し,総合動作の自己組織化について考察した.
|