研究分担者 |
北村 幸彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70028520)
穂積 本男 埼玉県がんセンター, 研究所, 所長 (50113478)
高久 史麿 国立病院医療センター, 院長 (40048955)
溝口 秀昭 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70049021)
井川 洋二 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (40085618)
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研究概要 |
造血幹細胞の分化増殖と造血因子の作用機序について,分子レベルでの研究が進められた.第1年目として予想を上回り順調に経過した.総括班は平成2年8月3日および10月17日に班会議を開き,研究全体の方針につき協議した.計画研究と共に一般公募により選択した研究課題を加え研究を行い,その成果は10月17日,18日の両日に合同班会議,および公開シンポジウムとして班員全員が発表を行った.内容はきわめて斬新で充実していた.各研究班には概略次のような進歩があった. A01班・造血幹細胞の単離,濃縮については,幹細胞表面に表現される各種の抗原に対する抗体と細胞分離装置を利用した研究が進み,各種造血因子によって,これらの表面形質が出現消退する有様がとらえられた.又この研究により幹細胞を実体ある細胞として扱えるようになった.細胞表現に発現するcーkit遺伝子産物が,造血幹細胞に発現されるチロシンキナ-ゼ受容体であり,そのリガンドは造血支持細胞より分泌される幹細胞因子(SCF)であることがわかり,A04班とともに研究が新しい段階に入っている. A02班では各班員の単離した造血因子に対する受容体がクロ-ンされ,その分子構造には互いに共通の分子構造があり,造血因子受容体ファミリ-という新しい概念が作られた.更に,各受容体には刺激伝達に必要な第二の分子が存在することも一部で解明された. A03班では骨髄性白血病株細胞分化誘導因子の遺伝子,フレンド白血病細胞の細胞内分化因子の精製と作用機序,cーmyc遺伝子との関係,ガングリオシド分子種の同定と作用機序の解析が進行し,又新たにチロジンキナ-ゼ型レセプタ-遺伝子(ltk)産物の作用等の解析が行われた. A04班ではA01班との共同研究による造血支持細胞のcーkit遺伝子とそのリガンド,プロテオグリカンとの関係等についての研究が行われた.
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