研究分担者 |
安井 昭二 山形大学, 医学部, 教授 (20023781)
井上 通敏 大阪大学, 医学部・附属病院, 教授 (30028401)
沢登 徹 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00014217)
春見 建一 国立療養所, 中野病院, 院長 (00102335)
入沢 宏 東京女子医科大学, 附属日本心臓血圧研究所, 顧問 (30033947)
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研究概要 |
(1)洞結節細胞のペ-スメ-カ-電流としての電流系(I_<Ca>,I_K,I_f,I_<NaーCa>)の他にNa背影電流(I_<Na back>)の関与を、それぞれの電流系に対するブロッカ-存在下で検討した。I_<Na back>は細胞外Na^+をTRISで置換すると消失するが、その反転電位はー20mVであり、この系にはK^+も関与(P_<Na>/P_Kは0.44)していることが判明した(入沢)。(2)生理的条件下でのモルモット単離心筋細胞の膜電位の立ち上がり相の電位変化を高速AD変換器(1MH_Z,12ビット)で収録し、DiFrancescoーNobleのモデルを用いて、膜電位変化を最も良く外挿するNa電流モデルを得た。そのモデルでは膜活動電位のVmaxと電位依存性Naチャネルavailabilityとはほぼ直線関係にあることが判明した(外山,鈴木)。(3)膜活動電位の再分極過程をDiFrancescoーNobleモデルを基本として,I_<Ca>,I_K,I_<to>,I_<NaーCa>電流系の細胞内Ca^<2+>依存性を実験的に得て、それによる修飾を加味すると膜活動電位持続時間(APD)の頻度依存性短縮や期外刺激時のAPDの変化が良くシミュレ-ト出来た(沢登)。(4)既に発表した心電図シミュレ-タの処理時間をSUNレベル4を用いて1/20〜1/100に短縮することに成功した。これにより心室頻拍や心室細動などの致死的不整脈の解析が容易となり、MoeとAbildskovらの細動誘発条件値を求める予定である(春見,武者)。(5)致死性不整脈の予知法として、体表面上のQRS終末部の微小電位の有用性を拡張型心筋症(DCM)と陳旧心筋梗塞症(OMI)で検討した。DCMでは、心筋バイオプシ-標本の心筋線維化率を求め、これと加算平均心電図のfilteredQRS巾(fQRSd)とlate Potential(LP)との関係を検討すると、両者の間に有意な相関を得た。今後、心室不整脈の発生と関連づける予定である(井上)。さらにOMIに対してLPの体表面上の分布を体表面上の87点から求めたところ、その極大が心室頻拍を合併する患者で有意に大であった。今後、致死性不整脈の予知に役立てる予定である(安井)。
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