研究分担者 |
神野 耕太郎 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (40025630)
小川 聡 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (90124940)
西 勝英 熊本大学, 医学部, 教授 (00040220)
頴原 嗣尚 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50037446)
平岡 昌和 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (80014281)
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研究概要 |
1.<細胞・組織レベルの研究>___ー:虚血に伴う異常自動能の発生と伝導障害の発生に関与するクロライド電流(I_<C1>),ATP感受性K^+電流(I_<K.ATP>),遅延後脱分極(DAD)と細胞内陽イオン動態に関して。(1)モルモット心室筋細胞を用い,細胞接着型パッチクランプを行い,adrenalineで開口する単一I_<C1>の記録に成功した。I_<C1>は外向き整流特性を有し単一コンダクタンスは13pS,膜電位非依存性で長い開口時間(200ー700ms)を有する。その開口にはAキナーゼによるチャネルのリン酸化が関与しているらしい。(2)I_<K.ATP>チャネルの開口に対するpinacidilと[Ca^<2+>]_iの作用機序が判明した。Pinacidilはチャネルコンダクタンスを変えずに膜電位非依存性に開口確率を増加させるが,その作用は[ATP]_i依存性で,[ATP]_iが高いほど用量ー反応曲線が右側(高濃度側)に移動する。またI_<K.ATP>は生理的範囲内で[Ca^<2+>]_iが低いほど活性が増加した。(3)二連イオン選択性微小電極を心室乳頭筋に応用し次のことが判明した。0mM[K^+]_o条件下では細胞内Na^+活性が進行性に増加し,pH_iは0.1低下する。このとき頻回刺激を行うとDADが発生する。NaーH交換阻害薬amilorideとHMAはこれらの変化を全て抑制した。DADの一因としてpH_iの低下によるSRからのCa^<2+>放出が考えられる。2.<器官レベルの研究>___ー:(1)心外膜マッピング法を用い,イヌの梗塞部残存心筋層の興奮伝播様式を分析した。梗塞部では交感神経刺激による伝導速度の増加率が低下すること,心室早期刺激時に限局性の機能性ブロックが数ケ所に同時出現し,心室細動が生じることが判明した。(2)膜電位感受性色素とマトリックス型多素子ダイオードを発生初期の鶏胚心臓に適用し,心房内の興奮は一定速度で同心円状に伝播することを明かにした。また興奮伝導の三次元マッピングに適した色素のスクリーニングを行い,相補的な波長依存性スペクトルを有する膜電位感受性色素ペアを発見したので,今後はこれらを用いて三次元マッピングを行う。
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