研究概要 |
本研究を遂行するにあたって必須となるものは適切なpositive controlの開発と,これを用いたXenopns oocyteの発現系の確立である。そこで本年度はウサギ脳より、膜電位依存性のKチャンネルcDNAを単離し,そのcRNAをoocyteに注入し発現させることにより,本イオンチャンネルの解析を行った。まずShaker遺伝子に関連したRBK1(Science,221,1989)の塩基配列をもとにpolymerase chain reaction法によりプロ-ブを作製,これを用いてウサギ脳のcDNAライブラリ-より,全長2,3kbのクロ-ン(BSH51)を得た。本クロ-ンは1431b.pのopen reading frameをもち,477残基のアミノ酸をコ-ドし,その分子量は53879であった。ラット脳のKチャンネルであるRBK1との相同性は約80%であり,特に膜貫通部はH_2でI→F,H_4でF→Iの相違が認められる他は定全に一致していた。本クロ-ンをT_7プロモ-タ-をもつベクタ-に組み込むことより,cRNAを作製し,これをXenopus oocyteに注入することよりその発現蛋白を電気生理学的に解析した。その結果,膜依存性に〜5μAのAtype outuard電流を観察した。本電流はTetraethy lammonium(Ec50=0.1mM),4ーAminopyridine (Ec50=0.1mM),及びBarium cbhoride (EC_<50>=10mM)により抑制され,また外液のK濃度卸を変化させた際のreversal potentialより,本電流が,K電流であることが推測された。本クロ-ンはoocyte注入后,24時間以内にその蛋白が発現されることにより,今后oocyte発現系によるクロ-ニングに際し有力なpositive controlとして用いることが可能となる。そこで現在,本クロ-ンの発現を指標として本研究の主題であるATP依存性Kチャンネルの検索を行っているところである。尚申請者は,本学でのR.Iの使用が不能になっていることより渡米してこれを遂行中であることを付記する。
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