研究概要 |
組織特異的転写および、cAMPによる転写調節機構を明らかにするために、副腎皮質特異的に発現するPー450(11β)遺伝子上流に位置するエレメントとそれに結合するタンパク質因子の解析を行なった。 Pー450(11β)遺伝子上流をCATアッセイおよびin vitro転写系を用いて解析した結果、転写開始点より上流400bp以内に、4箇所のシスエレメント(Ad1,Ad2,Ad3,Ad4)を確認した。このうちAd1,Ad2は上流ー60/ー67,ー76/ー86bpに位置し、in vitro転写系でその活性が明らかになった。一方、マウス副腎皮質由来のYー1細胞を用いた実験においては、更に上流ー284/ー306,ー331/ー324に二つのエレメントAd3,Ad4の存在が確認された。Pー450(11β)遺伝子はcAMPによってその発現が調節されている。これらAd3,Ad4はcAMPに対して誘導的調節を行なうエレメントであるが、その配列はCREやAPー2とは異なるものであった。牛副腎皮質より調製した核抽出液を用いてフットプリントを行なったところ、これらのサイトに対する結合因子の存在が示唆された。これらのサイトをプロ-ブにゲルシフトアッセイを行なうと、それぞれに特異的なシグナルが確認される。副腎皮質以外の臓器、脳、肝臓、膵臓、より核抽出液を調節し、ゲルシフトアッセイを行なうとAd4サイトのみ副腎皮質特異的にシグナルを示すことがわかった。ゲルシフトの活性を指標に、Ad4結合タンパク質を牛副腎皮質の核抽出液より精製したところ、53Kdのタンパク質が得られた。このタンパク質が本遺伝子のcAMPによるや組織特異的発現に大きく寄与することが期待される。
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