研究課題/領域番号 |
02261207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河野 重行 東京大学, 理学部, 助手 (70161338)
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研究分担者 |
黒岩 常祥 東京大学, 理学部, 教授 (50033353)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1990年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 色素体 / 色素体核 / シンク・ソ-ス / 老化 / 転写制御 / in vitro転写系 / イネ / タバコ |
研究概要 |
色素体発達段階の初期および老化過程における澱粉粒の消長や色素体核の構造変化に注目し、色素体のシンク・ソ-ス関係の「逆転」や「解消」に関連した色素体構造の変化を調べた。イネの鞘葉および本葉は、葉の発達にともなって原色素体は澱粉粒を蓄積し一旦アミロプラスト化し、澱粉粒の消化とともに葉緑体に分化し光合成を開始する(シンク・ソ-ス関係の逆転)。この時期には原色素体核の著しい構造変化やDNA含量の大幅な増大が見られた。その後の葉緑体の老化にともない、DNA含量の急激な低下や葉緑体核の消失、さらに光合成膜系の崩壊が起こり、葉緑体は完全に光合成機能を失ってしまう(シンク・ソ-ス関係の解消)。これは、葉の老化の極初期(葉の黄化の直前)にZn^<2+>依存性の特殊なヌクレア-ゼ(13,51kDa)が増大し、葉緑体へ移行するためであることがわかった。葉緑体核の消失によって葉緑体の遺伝子発現能(mRNA合成能)は完全に葉緑体から失われてしまうことになる。このように、シンク・ソ-ス関係の逆転や解消の時期に、色素体核には消失をともなう著しい変化が見られ、色素体遺伝子の発現様式に著しい変化があることが予想された。色素体核レベルでの遺伝子発現の制御機構を解析するために、タバコ培養細胞(BYー2)から原色素体核また緑葉から葉緑体核を無傷単離し、<in>___ー <vitro>___ーで転写を続行させ、その転写産物を解析した。その結果、原色素体核と葉緑体核では個々の遺伝子の発現様式には大きな差異があり、またゲノムあたりの発現量でみると葉緑体核には原色素体核の十倍以上の発現量があった。このような著しい差異は従来からよく調べられているエチオプラストから葉緑体への発達段階では見られないものである。原色素体から葉緑体への発達段階でシンク・ソ-ス関係の逆転が起こっている。色素体のシンク・ソ-ス関係に果たす役割の変化は、色素体遺伝子発現様式の著しい変化をともなっていることが明らかになった。
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