研究課題/領域番号 |
02262229
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山村 研一 熊本大学, 医学部, 教授 (90115197)
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研究分担者 |
若杉 正司 熊本大学, 医学部, 助手 (50201140)
田代 文 熊本大学, 医学部, 助手 (40136213)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
1990年度: 15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
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キーワード | トランスジェニックマウス / B型肝炎ウイルス |
研究概要 |
両端の一部に重複した部分を含むHBVDNAを導入したトランスジェニックマウスを作製し、これらのマウスの肝臓でHBVが複製しているとの証拠が得られていた。今年度は更に解析を進め、次のことが明らかとなった。マウス血中に、ウイルス粒子が実際に存在するかどうかを免疫電顕により解析したところ、直径約42nmの二重殻の構造をもつウイルス粒子が存在することが分った。このウイルス粒子が感染性を有するかどうかを解析するため、ヒト胎児培養肝細胞をマウス血清を加えた培養液で培養し、以後時間を追ってHBs抗原及びHBe抗原を定量した。その結果、HBs抗原は日数とともに上昇し、血中のウイルスが胎児肝細胞に感染し遺伝子発現が行なわれたと推定された。HBe抗原の上昇はみられなかったが、これはもともと血中のウイルスの量が少ないためと考えられた。次いで、ウイルス遺伝子の発現やウイルス粒子の産生そのものが肝炎の原因となるかどうかを解析するため、年令を追って定期的に血清トランスアミナ-ゼレベルや肝組織を調べたが、生後2年以上にわたって肝炎を思わせる所見は全く得られていない。このことは、肝炎の発生にはウイルス抗原に対する宿主の免疫応答が重要な役割を演じていることを示唆している。そこで、これらのマウスにおけるウイルス抗原に対する免疫応答状態を、HBs抗原やHBe抗原で免疫することによって解析した。その結果、免疫前ではHBs抗体は産生されていなかったが、免疫後はHBs抗体の産生が培養された。しかし、そのレベルはコントロ-ルマウスに比し有意に低く、部分的寛容状態にあると考えられた。また、T細胞レベルでも部分的寛容状態にあることが分った。HBs抗原で免疫時非常に面白いことにマウス血中のHBs抗原は消失したが、PCR法による検索の結果ウイルス粒子も完全に中和され消失することが明らかとなった。
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