研究概要 |
1.(1)DNAに対するHMG1,HMG2(HMGと略)タンパク質の結合の度合を測定するために、ゲルシフト・アッセイ法の条件を設定した。 (2)この系を用いて解析の結果、HMGはI型DNAに最も親和性が高く、Ir、II型の共存下では、I型がほぼ飽和するとIr型,II型へも結合した。III型とI型DNA共存下では、まずI型に優先的に結合した。III型DNAに結合しているHMGも後にI型DNAを加えると、I型DNAへ移行した。 (3)十字型構造をとり1本鎖ル-プを持つものと、持たないものとの2種類の合成DNAをもちいて解析の結果より、HMGは1本鎖グル-プ構造により高い親和性を持つことが明らかとなった。 (4)これらの結果から、HMGは塩基配列には依存せず、1本鎖領域を認識結合した後、2本本鎖部分へ協同的に結合するものと推察される。 2.一次構造上相同性が高いHMG1とHMG2についてDNAへの結合の度合は大きく異なることがゲルシフト・アッセイの結果で明らかとなり、異なる機能をもつことも考えられる。 3.HMG1タンパク質のプロテア-ゼ,あるいはBrCN分解断片とDNAとの相互作用の解析から,HMG1のDNA結合領域のひとつは、N末端より74番目のアミノ酸までの領域にあることが確かめられた。 4.DNAとHMGとの結合構造を解析する為に、DNA結合ドメインを高発現させる条件を設定しつつある。HMGのDNA認識・結合の様式は従来のそれらとは全く異なる新しいモチ-フであることが予想され、新知見を得ることができるものと考えられる。 5.HMG2の遺伝子領域(約5Kbp)をクロ-ニングし、その全塩基配列をはじめて明らかにし、新しい知見が得られた。この結果は、今後の研究に重要な基盤を与える。
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