研究課題/領域番号 |
02301010
|
研究種目 |
総合研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美術史
|
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
小林 忠 学習院大学, 文学部, 教授 (60000329)
|
研究分担者 |
池田 宏 東京国立博物館, 工芸課, 主任研究官 (30176101)
千野 香織 学習院大学, 文学部, 助教授 (20163727)
冷泉 為人 大手前女子大学, 文学部, 助教授 (70122215)
西 和夫 神奈川大学, 工学部, 教授 (10049687)
武田 恒夫 大手前女子大学, 文学部, 教授 (00000357)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
10,100千円 (直接経費: 10,100千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1990年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
|
キーワード | 江戸城 / 障壁画 / 御用絵師 / 狩野派 / 粉本 / 下絵 / 江戸時代 / 狩野晴川院 / 狩野清川院 |
研究概要 |
本研究は、江戸時代にあって最も重大な意味を持つ城郭建築である江戸城の、幕末期における障壁画制作の実態を、総合的に考察しようとするものであった。そのため、美術史学、建築史学、歴史学、という異なる3分野の研究者が集い、日本近世絵画史研究者の活動を中核としながら、各分野で相互に連関する研究を行った。 美術史学の成果は、次の通りである。障壁画制作に関連するいわゆる〈小下絵〉には、(1)純然たる草稿としての下絵、(2)施主の意向を伺うために提出した伺下絵、(3)後の参考のために写した複本としての保存用下絵など、各種の様態があり、それらが混然として伝存していることを解明した。(3)の保存用下絵は、その後、いわゆる粉本として使用された形跡がある。さらに、将軍の御用絵師である狩野派や住吉派と、全国に分布した大名の御抱絵師との具体的な関係について、絵画遺品、文献資料の双方から詳細な検討を加え、中央と地方の交流の実態を解明した。両者の関係は、従来考えられていた以上に密接であった。 建築史学の成果は、次の通りである。まず、狭く江戸城に限定せず、二条城、京都御所、及び大仙院などの寺院建築、また浅野家江戸霞が関上屋敷を始めとする大名屋敷など、障壁画と建築との関係を具体的に検討した。いわゆる小下絵は、こうした考察を行う際、実に有効な手掛かりを与えてくれるものであった。こうした考察の結果、江戸城障壁画とその下絵、及びそれらと建築とのかかわりが、一層明確に把握されるようになった。 歴史学の成果は、次の通りである。まず、狩野晴川院の『公用日記』から、晴川院周辺の絵師の行動を記録する全データの抽出した。その結果、江戸の御用絵師と各地の御用絵師の関係が、具体的に把握できるようになった。なお現在、それらのデータをさらに詳しく分析中であり、今後、新たな知見が得られる可能性もある。
|