研究課題/領域番号 |
02301055
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
服部 春彦 京都大学, 文学部, 教授 (20022345)
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研究分担者 |
野田 宣雄 京都大学, 法学部, 教授 (50026754)
服部 良久 京都大学, 文学部, 助教授 (00164872)
紀平 英作 京都大学, 文学部, 助教授 (60025070)
松尾 尊兌 (松尾 尊〓) 京都大学, 文学部, 教授 (10027526)
藤縄 謙三 京都大学, 文学部, 教授 (50025053)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1990年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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キーワード | 市民 / 国家 / 主権 / ヨーロッパ / アメリカ / ヨ-ロッパ |
研究概要 |
市民という言葉は今日きわめて多義的に使用されており、その意味するところは決して明確ではない。本研究は時代的には古代ギリシアから20世紀後半までを、また地域的には東西ヨーロッパとアメリカ合衆国および日本を視野に収めながら、「市民」の概念と彼らの具体的なあり方について比較史的観点から検討を試みたものである。各研究分担者は過去3年間、それぞれの分担領域について、既存の研究文献、史料を渉猟しながら、緊密な連携に下に研究を行ってきた。その成果の要点は、研究成果報告書に収録された13本の論稿の中に示されている。それらはきわめて多岐にわたる問題を扱っているが、そのアプローチの方法の点から、各時代、各地域における「市民」の概念史的、法制史的把握を深めようとするものと、社会層としての「市民」の形成過程と存在形態について政治史的・社会史的観点から実証分析を深めようとするものとに大別されよう。 本研究によって得られた新しい知見は数多いが、特に重要な成果として以下の3点を挙げておきたい。第1は、各時代の「市民」概念の多義性、また彼らの存在形態の多様性の認識の上に立って、それぞれの国家や社会の市民身分の中で従属的ないし周縁的地位にあった人々について重点的に孝察を試みたことである。古代ローマにおけるギリシア人市民、フランス革命期の女性市民、植民地アルジェリアにおける原住民でフランス市民権を付与された人々などがこれに当たる。第2は、ヨーロッパ近代における「古典的市民」概念および市民像がイギリス、フランス、ドイツ、アメリカにおいてそれぞれ個性的な姿を帯びることを明確にしたことである。そして第3は、現代社会における伝統的市民層の変貌や国家権力と市民の間の関係について、ドイツとアメリカの史実に即して新しい光を当てたことである。
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