配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1992年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1990年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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研究概要 |
研究成果はまもなく出版される裏面最下欄で示す著書に収められるが,概要はつぎのとおりである。(1)調査対象のどの企業も,1980年以降,国家の政策的誘導と労働組合の要求に応じて定年を60歳に延長した。(2)これとともに中高齢層のますます多くが「出向」により本社から準内部労働市場へと排除される傾向がある。(3)また旧定年年齢以降,年功による処遇が停止される傾向がある。(4)さらに在職年金受給を前提に60歳以後も再雇用制度により雇用を継続するケースもある。(5)以上,日本の大企業における伝統的な終身雇用のあり方がかなり変化しつつあると結論しうる。(6)欧米では,きびしい失業と合理化のなか公的年金早期受給や失業保険,障害年金あるいは企業年金を利用した高齢労働者の早期退職の傾向がこの10年余り進行している。この結果,福祉国家財政危機が進行しているのみならず,厳格な機能分担に立ってきたはずの福祉国家の論理と機能の歪みが生じ,「高齢」概念のあいまい化,個別化,多義化がもたらされている。(7)翻って日本では,旧定年年齢時代は,55歳での定年「退職」,60歳からの年金受給,それの間の「自助」という機能分担であったものが,新定年年齢のもとでは,「高齢」は出向とともに始まり,55年で年功処遇から外され,60歳で雇用保障から放遂される,というものに変容した。さらに再雇用制度を考慮すれば,60歳とは段階的引退の一通過点にすぎなくなる。かく欧米とは逆のベクトルで,日本でも「高齢」あるいは「退職」概念の個別化,多義化のプロセスが進んでいる,といえる。(8)60歳からの減額受給という選択肢を伴なうところの年金支給開始年齢の65歳への引き上げは,このプロセスをさらに推進しよう。
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