研究概要 |
爆発前の星の進化,爆発過程,元素合成,X線・γ線の放出,星周物質との相互作用,若いパルサーの活動度など,この超新星の全体像をとらえるために,次のような総合的研究を行った。 1.「ぎんが」衛星を使った軟X線の解析とモデル計算とにより,星周物質の位置や状態,爆発物質との衝突過程を研究した(早川,政井,常深)。 2.この星周物質の研究を手がかりとして,爆発前の星がどのような進化の道をたどったか,質量放出がどのように働いたかを,モデル計算を通して明らかにした(斉尾,野本)。 3.^<57>Coの122keVのラインが観測されることが期待されるので,元素合成モデルとの比較とその星の進化モデルに対する意味を検討した(野本,西村,釜江) 4.レーリー・テイラー不安定の2次元的非線型な振舞いの数値計算により混合がどのように進行するかを研究し,観測をよく説明できることを示した。3次元流体力学計算コードを開発し,その予備的な計算を行なった(野本,中村,蜂巣,松田,佐藤勝)。 5.パルサーから放出される高エネルギー粒子とまわりの物質の相互作用を,ニュートリノ(戸塚)やγ線(木舟,佐藤文)の観測とモデル計算(中村,佐藤文)によって探った。 6.超新星からの硬X線とγ線の「ぎんが」,気球による観測データの解析を進め,上限値を得た(槇野,政井,小山,常深,釜江,西村)。パルサーからのX線の直接的観測を試み上限値を得た(槇野,常深,小山,早川)。 7.パルサーの誕生過程の基礎的理論研究として,重力崩壊・爆発過程への回転の効果(中村,佐藤勝),中性子星の進化への状態方程式,磁場,回転の効果(江里口,高塚,伊藤,佐藤勝),重力波検出の可能性(藤本,中村,江里口)等を検討した。 8.こうした物質混合による魂の形成とダスト形成によって期待される赤外線放射の計算を行ない,赤外観測をよく説明できることを示した(長谷川,野本,早川)。 9.研究とりまとめのための総合的研究会を各年度一回ずつ開催した。
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