研究概要 |
本年度は,昨年度製作した船体動揺模擬装置(乗心地シミュレ-タ)を用いて船酔,乗り心地に関する基礎実験を行い,装置の動特性の計測,実験方法に関する検討,シミュレ-タの機能,性能の把握,調整を行った。 装置の外形,仕様,制御方式,動特性等については研究成果報告書に詳しく述べられる。装置の駆動は3本のシリンダ-によって行われるが,制御系の特性から,高周波の衝撃的振動が残るため,更に制御方式に検討を加えねばならない.また,横揺れに関しては動揺中心が固定点であるため船体の横揺れと異なった動揺となっている。装置に横移動機能を追加して動揺中心を可変とする必要のあることがわかった。 基礎実験として,0.1 Hz,0.2 Hz,0.3 Hzの横揺れ状態における船酔の実験を行った。1名の被験者に対してはそれぞれの動揺周波数に対して30分間計測を行った。横揺れを対象とした理由は,装置の制御に問題があるため,上下揺れを30分間持続できないためである。計測は,キャビンの動揺加速度(3軸),動揺角速度,各シリンダ-の変位,被験者の頭部加速度(3軸),表情及び顔面温度分布(装置は富士通研究所より借用)である.また,実験開始前,終了後に血圧,脈拍,体温の計測を行いその変化を調べた.実験中は,5分間隔で乗り心地,酔いの程度について被験者との対話,アンケ-ト用紙への記入を通じて行われた。 実験結果の分析は現在進行中である,顔の表情,顔面温度分に関しては,ビデオ信号の画像処理を行う必要があるので,現在処理プログラムを開発中である。また解析にはファジイ理論の適用を考えている。 医学関係の研究者との情報交換を通じて,脳波,心電,筋電,発汗の計測が不可欠であることがわかった。
|