研究概要 |
本研究では,パンチを省略できるフレキシブルな薄板張出し成形法として,ボ-ルロ-ラ-を用いた逐次張出し成形法を提案し,パソコン制御の逐次張出し成形機を試作した.そして,多品種少量生産の可能性,逐次成形経路の最適化,成形限界及び成形精度について検討し,製品設計に必要な最大張出し高さの算出法の提示や有限要素法による逐次成形の数値シミュレ-ションを行った.主な研究成果は次のようである. (1)試作した逐次張出し成形機の性能は, ストロ-ク:x=200mm,y=300mm,z=100mm, 移動速度:約30mm/sec 位置め精度:x,y方向 ±0.03mm(負荷荷重0.5kN) z方向 ±0.03mm(負荷荷重2kN) (2)四角錐台シェル,ピラミッド状シェル,段付き容器及び模様付けやンボス加工などの様々な形状の張出しが短時間に成形可能であることを確認し,提案した成形法が多品種少量生産に有効であることを示した. (3)成形限界を向上させる最適負荷経路は,一様なひずみ分布を与えるような経路である. (4)ボ-ル接触による逐次変形の破断限界は板厚ひずみが一定で生じることを示した. (5)逐次変形における破断限界線を平面ひずみ変形モデルを用いて,最大張出し高さの算出法を提案した. (6)逐次張出し変形のFEMによる数値シミュレ-ションを行い,成形限界やスプリングバックに及ぼす成形条件の影響を検討した.
|