研究分担者 |
三井 利夫 明治大学, 理工学部, 教授 (70000726)
江橋 節郎 岡崎国立共同研究機構, 機構長 (10009863)
池上 明 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (60011483)
飯塚 哲太郎 理化学研究所, 主任研究員 (30029475)
安藤 正海 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 教授 (30013501)
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研究概要 |
最近シンクロトロン放射中の強力X線を利用した回折・散乱実験が急速に進展し,結晶中での酵素反応を高時間分解能で解析する研究が始まり,また筋収縮の分子的機構や膜蛋白機能の解明への動的構造解析が出来るようになった。本総合研究はシンクロトロン放射の利用者を中心に種々の蛋白質や生体中の超分子構造の動的構造解析について現在の問題点を明らかにし,この分野の研究を促進することを目的とした。本年度は巨大分子用ワイゼンベルグカメラとイメ-ジングプレ-トを持つ巨大分子結晶構造解析システムを開発しAIDSウイルスが増殖するときに必要な逆転写酵素の結晶を解析し,性能が世界の他の設備より優っていることを確認した。また全自動迅速X線回折討を開発し,テトラゾ-ル・ミオグロビンや茸レクチンで性能評価した。さらにゾ-ンプレ-トを用いた結像型軟X線顕微鏡を開発し,赤血球などの生体物質を観察しその有効性を確認した。蛋白質の結晶解析では,免疫グロブリンのFVフラグメント・古細菌フェレドキシン・硫酸還元菌のチトクロムC_2,C_<553>・ヒドロゲナ-ゼ・高分子チトクロムなどの構造を解析した。X線吸収スペクトル法で,酸化型チトクロムP450と過酸化・酵素やミオグロビンと比較したところ,鉄と配位子との結合の性質の差異が分かった。時分割X線小角散乱によりATP合成酵素のα^3β^3複合体がATPを加水分解してαβに解離する過程を追跡し,反応過程を解析した。また紫膜は光反応中に結晶構造の乱れが起こらないことが分かった。癌遺伝子産物rasp21のGTP・GDP交換反応に伴う構造変化を変異体も含めて解析し,その機能発現の機構を考察した。筋肉については収縮中の細いフィラメント構造変化及びアクチン・ミオシン系の微細構造変化を解析した。またミオシン頭部の化学修飾の影響を調べた。光照射に伴うイカの視細胞微繊毛の構造変化を解析し,昨年よりより精密なモデルが出来た。
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