研究課題/領域番号 |
02304005
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物生理学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
和田 敬四郎 金沢大学, 理学部, 教授 (70028174)
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研究分担者 |
長谷 俊治 名古屋大学, 農学部, 助教授 (00127276)
渡辺 昭 名古屋大学, 農学部, 教授 (70023471)
村田 紀夫 基礎生物学研究所, 教授 (90011569)
遠山 益 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (20017213)
赤沢 尭 名古屋大学, 農学部, 教授 (20023400)
大山 莞爾 京都大学, 農学部, 教授 (40135546)
佐々木 幸子 京都大学, 農学部, 助手 (00026519)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1991年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1990年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | プラスチド / 葉緑体 / クロモプラスト / アミロプラスト / イソタンパク質 / アデニレ-ト・トランスロケ-タ- / グリセロ-ルー3ーリン酸アシルトランスフェラ-ゼ / DNAのメチル化 / グリセロ-ル‐3‐リン酸アシルトランスフェラ-ゼ |
研究概要 |
光エネルギ-を利用する植物の生産工場としての葉緑体の研究は葉緑体DNAの全構造の解明以来、急速に進展した。葉緑体と同一の起源体であり、同じゲノムをもつプラスチド(クロモプラスト、アミロプラスト、プロプラスチド、エチオプラスト等)がどのように形成され、どのような制御機構によって、異なった機能発現に至るか、分子生物学的に捉らえようという目的で2年間の研究を行って来た。 平成4年2月20日(土)、金沢KKR加賀にオブザ-バ-を含めて12名が集まり、2年間の研究成果の集約が行われた。その結果、計画された目標はほぼ全面的に達成され、ある面では計画以上の成果も得られている。以下に幾つかを列挙する。 (1)核支配のプラスチド・タンパク質の多くは多重遺伝子族でコ-ドされ、それぞれがプラスチド形成に伴って異なった発現制御を受け、プラスチド内へと輸送されることがタンパク質レベルと遺伝子レベルで示された(長谷、和田)。これら多重遺伝子の出現が植物の器官分化の進化的時期と一致するらしいことも免疫抗体を用いた実験から示唆された(和田)。オオムギ根の単離プラスチドの酵素系の詳細な検討からこのプラスチド内ではNADPHの生成から亜硝酸の還元まで完結され得ることが確認された(王子)。(2)二重シリコン・オイル遠心分離法を新たに考案し、分離アミロプラストの内膜にあるadenylate translocatorがデンプン生合成の前駆体ADPGを直接取り込むこと、ADPGの生合成には特異的にスクロ-ス合成酵素がkey enzymeとして働いていることが実証された(赤沢)。(3)光やホルモン・バランスを変え、自由にコントロ-ルできるニンジン根形成層からのカルスを用い、遠山はプロプラスチド→葉緑体→プロプラスチドの変換を電顕的に促らえることに成功した。(4)プラスチド内でおこる脂肪酸合成にかかわる酵素三種のcDNA解析を行い、グリセロ-ルー3ーリン酸アシルトランスフェラ-ゼに関してはcDNAをタバコに導入し、葉緑体脂質の不飽和度を変え、低温耐性を変えることに成功した(村田)。 (5)その他、プラスチド遺伝子の発現調節の機構の一つ、遺伝子の発現調節領域のメチル化がさらに詳細に調べられ、メチル化はその他の制御領域でも起こっていることが分かり、シロイヌナズナの系で自殺遺伝子の利用という新しい方法が作られた(小林)。プラスチドへのタンパク質の膜輸送や(渡辺)、プラスチドのいくつかの不明遺伝子(ORF)の解析が行われた(大山、佐々木)。また、プラスチド構成タンパク質の多型の研究からいくつかの遺伝子の上流域に三つの特異的な反復配列を発見し、このようなシス因子がプラスチド変換時のシグナル伝達に関与している(小保方)可能性が示唆された。
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