研究課題/領域番号 |
02305014
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
三室 守 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (40142004)
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研究分担者 |
渡辺 泰堂 関西学院大学, 理学部, 教授 (50079662)
山崎 巌 北海道大学, 工学部, 教授 (80002111)
小山 泰 関西学院大学, 理学部, 教授 (90079666)
加藤 哲也 京都大学, 理学部, 講師 (30025308)
垣谷 俊昭 名古屋大学, 理学部, 助教授 (90027350)
長江 裕芳 神戸市外国語大学, 助教授 (50124871)
嶋田 敬三 東京都立大学, 理学部, 助教授 (80112473)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
1991年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1990年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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キーワード | カロテノイド / 光合成 / エネルギ-移動 / 光合成色素蛋白 / 時間分解分光法 / 分子動力学 |
研究概要 |
光合成系におけるカロテノイドの機能、特にアンテナ色素としての機能について解析した。主な論点は、一重項間でのエネルギ-転移機構の解析であり、そのために、カロテノイド蛋白質の分離・精製法の確立を図り、更に単離したカロテノイドをも用いて理論的、実験的に解析を進めた。 (1)褐藻からエネルギ-転移機能を完全に保持したカロテノイド蛋白質量単体の単離・精製に世界で初めて成功した。(2)エネルギ-転移機能は、カロテノイドの吸収帯が長波長側へ移行しているときのみ観測され、その原因として、カロテノイド分子の周囲の分子の分極率が寄与することが示された。(3)エネルギ-転移過程に関与する励起状態と考えられている2^1A_g状態が、単離したカロテノイドについて共鳴ラマン散乱によって確認された。光合成器官中では、その寿命が短すぎるために検出できなかった。(4)単離したカロテノイドの蛍光が観測され、その励起緩和過程、特にエネルギ-転移過程との関連が明らかとなった。共役二重結合の終端にケト基が存在し、励起状態の対称性が壊れると、S_1状態からの発光が観測された。その寿命は、対称性のよい分子に比べて長く、転移効率を高める要因となることが示された。カロテノイド蛋白質ではその短い励起寿命のため、カロテノイドの蛍光は観測できず、クロロフィルの立ち上がりから転移時間が2ピコ秒以下であることが観測された。(5)転移機構の理論的解析から、S_1状態間の転移には従来考えられていた電子交換相互作用ではなく、対称性のよいカロテノイドでは四重極ー二重極相互作用が、対称性が壊れたカロテノイドではク-ロン相互作用が寄与することが明らかとなった。(6)上記の解析の進展のために、励起状態の理論的解析、蛍光分光法の改良、再構成実験系の構築、遺伝子解析による蛋白質高次構造解析などの基礎的技術の開発を行った。
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