研究分担者 |
家村 浩和 京都大学, 工学部, 助教授 (10026362)
時松 孝次 東工大, 工学部, 助教授 (50134846)
野村 設郎 東京理科大, 理工学部, 教授 (30096713)
中田 高 広島大学, 文学部, 助教授 (60089779)
梅田 康弘 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10025421)
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研究概要 |
1990年7月1 日,フィリピン・ルソン島にM=7.8の大地震が発生し,数千人の死傷者と多くの建築物に被害をもたらした。特に,バギオ市でのパンケ-キのようにつぶれたRC建築物は有名である。 この研究では,8名の代表者・分担者および3名の協力者が8月に,地震学的,地形学的,建築工学および土木工学的調査を行い,さらに京都大学防災研究所地震予知研究センタ-が当研究と協力して,9月と11月の2度わたり伸べ15名が参加を得て,現地余震観測を実施し,フィリピン地震に関する多くの研究成果を挙げることができた。 フィリピン地震は,左横ずれ断層で,断層はほぼ垂直,横ずれは5mに達っした。この地震による断層は地表にあらわれ,約120kmに渡り追跡可能で,刻明な地形学的調査がなされ,この断層が活断層として地形に表現される断層と一致することが明きらかにされた。地震学的な調査からは,地震モ-メントが3×10^<27>dyn・cmと1990年ロマプリエタ地震の10倍の大きさであることが明きらかにされた。余震観測からは,本断層に沿って多くの余震が決められた外に,断層の北端部より西側に枝分かれしたように数多くの余震が発生していることが分かった。先述のバキオ市やアゴウ市のように本断層から30〜50kmも離れた地域で甚大な被害を受けたのは,この枝分かれのような副次断層による強震動のためと推定され,このための波形解析が行われ,これが裏付けられた。構造物の調査からは,アゴウ市やバギオ市の被害は,施工上や設計上の問題が指摘されたが,やはり地震動がかなり強かったものと判断され,地震学的な結果と一致した。この他,ライフライン,液状化,橋梁の被害調査も精力的に行われ大きな成果が得られた。今回の調査で特筆すべきことは,現地研究者との研究協力であろう。これらの国際協力なしには,当研究で成果を挙げることは難しかったであろう。
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