研究概要 |
本研究は1991年6月に京都で開かれる一般相対論に関する第6回マ-セルグロスマン会議を準備するに際してわが国における一般相対論研究のすそ野をひろめることを目的としていた.すそ野の具体的方向としては一つは日本における宇宙及び重力に関する観測・実験であり,もう一つは素粒子の理論である. 国際会議の準備とも関連して一般相対論の研究動向について討論が行なわれ,それを学会のワ-クショップの種類、招待構演者の選定などに参考した.以下では本研究の経費が使用された活動を中心に研究実績の概要を記す. 本年度は重力波の測定を目指した日本での計画が出発した年であった.レ-ザ-干渉計の建設を中心課題とする重点領域の準備研究とも関連をもってこの研究は進められた.特に重力波発生に関して,拡張インフレ-ションモデルと原始重力波といった宇宙論的問題や二重星パルサ-の終末と重力波といった天体物理の問題について議論された.また,干渉計が出来た場合の第五の力をさぐる実験方法などについて議論された.このように実験家と一般相対論の理論家合同の議論なされるようになったことは,今後の新しい研究領域の開拓に役立つものと考えられる. 最近の素粒子論研究の中で重力を含む統一理論が大きな課題になっている.この研究は目的として一般相対論と重なるものであるのみならず最近の研究はその手法においても一般相対論で培われてきた数学的方法と関連するものも多い.この結果,国際会議においてもこの分野を取り込むかたちになっている.
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