研究分担者 |
丸茂 文昭 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00050443)
猿田 享男 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (70051571)
井村 裕夫 京都大学, 医学部, 教授 (10025570)
今井 正 自治医科大学, 医学部, 教授 (40049010)
阿部 圭志 東北大学, 医学部, 教授 (60004777)
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研究概要 |
臨床腎臓病学における今日の最大の問題は腎炎を主とした腎疾患の予防法および治療法の確立であるが,この問題の解決は腎の構造や機能に関する基礎的研究とそれに基づく腎疾患の病態生理や発生病理などの解明によってはじめて可能になると考えられる。そこで本研究は,先ず腎の糸球体限外濾過と尿細管の溶質輸送に関する研究の実状と内容を詳細に把握し,現時点で何が明らかにされ何が不明のままになっているのかの総点検を行い,これを踏まえて近未来への研究の問題点と展望を研究発表と討論の中から明らかにすることを目的として設定された。この趣旨に基づき,「腎糸球体及び尿細管機能の調節機構」という題の下に本研究の分担者はもとより最先端の研究を活動的に行っている多くの腎研究者を集め研究発表と討論会が行われた。この会の内容の全てはビデオに収録され,また印刷製本され報告書として提出されるのでここではその詳細については省略するが,概略すると(1)糸球体については,主として糸球体細胞機能調節機構についてのoverview,メサンジウム細胞の機能と調節因子および細胞増殖機序,糸球体血行動態とその調節因子,TGF機構などについての発表・討論が,また(2)尿細管機能調節機構については主として4つのペプチドホルモンすなわち副甲状腺ホルモン,バゾプレッシン,心房性ナトリウム利尿ホルモン,エンドセリンについてのoverview,新しい知見の発表・討論が行われた。総括すると,この企画によって,腎に関する研究の現状と内容,現時点の発展段階と水準についての把握という点においてはかなりの程度まで当初の目的が達せられたが,今後どのような方向に重点的に研究を進展させてゆくべきかという研究の方向性と研究項目については必ずしも明確にされたとは言い難く,この点についてはさらに研究会を重ねて検討してゆく必要があると考える。
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