研究分担者 |
寺田 正春 大阪市立大学, 法学部, 教授 (00047375)
西谷 敏 大阪市立大学, 法学部, 教授 (70047314)
浅田 和茂 大阪市立大学, 法学部, 教授 (70067734)
松本 博之 大阪市立大学, 法学部, 教授 (70047380)
光藤 景皎 大阪市立大学, 法学部, 教授 (10046930)
池田 恒男 大阪市立大学, 法学部, 教授 (60092128)
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研究概要 |
表題についての研究成果のうち,若干の点を以下に摘記する。 (1)民事裁判による法形成について。(a)法源論の観点から、法形成のメカニズムを再検討した結果,法発見手続のイニシャティブを訴訟当事者に担当させる必要性が指摘され、これを実現する方策として,法廷での法的討論の実施を保障するための手続改革が提案された。(b)法形成を行った判決の拘束力については,同種の別の事件の裁判官はこの判決によって発見された法から離反しようとする場合,十分な理由を要求されるという意味での拘束力ということができる,という見解が述べられた。 (2)消費者粉争について。少額被害事件を効率的に処理するためのシステムとして,消費者団体,業界代表,第三者から構成された粉争解決機関の構想が提案され,機関の人的経費的コストを業界から独立させる必要が指摘された。 (3)労働粉争について。粉争処理機関としての民事裁判所や労働委員会の手続上の欠陥のため,労働者の権利の救済に遅延が生じていること、労働関係の多くが権利義務関係として不明暸な点を残していることが相乗的に作用して,非法的粉争解決方法への依存を高めていることが指摘され,労働関係の法化を促進すべきことが提唱された。 (4)調停制度について。比較法的歴史考察から,わが国調停制度の成立と実施の成功は,日本人の国民性や権利意識の希薄のみでは説明しえず,多元的要因が働いており,制度の改善は個々の要因の検討より始める必要があることが指摘された。また,調停制度が実体法と社会の要求のギャップをうめる機能とともに,新しい法形成の方向を指示する機能を果たしてきたことが考察された。
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