配分額 *注記 |
17,900千円 (直接経費: 17,900千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1992年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1990年度: 11,300千円 (直接経費: 11,300千円)
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研究概要 |
磁性体においては多くの電子スピンが交換相互作用により強く結合し,集団運動であるスピン波が生成される.そのスピン波間には磁気双極子相互作用など非線形相互作用が存在し,非線形スピンダイナミックス系を形成している.マイクロ波による平行励起や垂直励起などのパラメトリック励起によって,スピン波対を熱平衡値を大きく越えて励起することが出来,スピン波の非線形非平衡状態を実現できる.励起を強くすると系は不安定になり,スピン波の数が時間的に変動する自励発振が発生し,さらに様々なタイプのバラエティに富んだカオスが発生する.このスピン波系において実験的に,周期倍カスケード,準周期性,間欠性,というカオスに特徴的かつ普遍的な性質を見いだし,詳しく研究した.また磁性は本質的に量子現象であるので,量子力学による微視的相互作用を基にモデルハミルトニアンを作り,数値実験によりカオス研究を行い,実験結果との比較研究も行った. 周期倍分岐ルートによるカオスでは,カオス発生臨界点や発達したカオス状態でのストレンジアトラクタとそのマルチフラクタル構造を示すf(α)スペクトルの分岐過程を明らかにした.同様の分岐過程は理論シミュレーションによっても裏づけられた.準周期性カオスではトーラス構造と位相ロッキングの発生.カオス発生臨界点直上での間欠性カオスの発生.変調を加えた励起下での引き込みによるアーノルドの舌現象.また非平衡スピン波対が電磁波を放射する非線形放射緩和過程などを明らかにした.この様にカオス現象に普遍的な現象が次々に見つかり,非平衡スピン波系が非線形科学のモデルシステムとしての重要性が認識された.
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