研究課題/領域番号 |
02402022
|
研究種目 |
一般研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安田 幸夫 名古屋大学, 工学部, 教授 (60126951)
|
研究分担者 |
小出 康夫 名古屋大学, 工学部, 助手 (70195650)
財満 鎭明 (財満 鎮明) 名古屋大学, 工学部, 助教授 (70158947)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
22,400千円 (直接経費: 22,400千円)
1991年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1990年度: 21,400千円 (直接経費: 21,400千円)
|
キーワード | 振動励起分光 / 表面反応 / 反応素過程 / 時間分解 / 薄膜成長 / 格子振動 / 界面モ-ド |
研究概要 |
本研究では、表面反応を動的にその場観察する方法として、振動励起分光法を時間分解測定に拡張し、気相-固相界面における反応素過程を原子尺度で解明する手法を確立し、かつ半導体表面の水素吸着を明らかにすることを目的とした。本研究で得られた具体的な研究成果は以下の通りである。 1.時間分解測定が可能な振動励起分光装置を作製した。達成された装置の性能は、エネルギ分解能7meV、信号の時間的安定性1.6%以上、弾性散乱ピークの最大カウント率1-2x10^5cpsであった。本装置により、基板表面原子および吸着原子の振動を感度良く捉えることができ、実用的な時間分解測定が可能になった。 2.本装置を用いて、Si(100)-2x1清浄表面の振動モードを測定した。その結果、100meVのエネルギー損失ピークが観測され、ダイマー構造に起因し、表面垂直方向に変位成分を持つ振動モードであると結論された。対称ダイマーモデルに基づいた振動モードの計算結果より、このピークはA_1モードの振動であると考えられる。 3.Si(100)-2x1清浄表面への分子・原子状水素吸着においては、吸着初期にSi-H monohydride結合が形成され、吸着量の増加と共にSi-2H dihydride結合が形成される。また、水素飽和吸着表面を加熱すると、約420℃でSi-2H結合がSi-H結合に変化する。 4.超高真空中熱処理において得られたSi(100)-2x1清浄表面は、室温ではほとんど酸化が進行しないことが明らかになった。また、初期酸化における酸素原子吸着位置はダイマーを構成するSi-Si結合間であり、次に第1層一第2層間の結合位置に酸素原子が取り込まれることにより酸化が進行すると考えられる。 5.Si(100)-2x1清浄表面への原子状水素吸着過程の時間分解測定を行なった。清浄表面の100meVおよびSi-H結合の79meVピーク強度は、時間と共に指数関数的に変化することが明らかになった。室温におけるそれぞれのピーク強度の減衰因子および水素吸着速度因子は、1.4x10^<-4>、3.6x10^<-4>/secである。これらの値から求められる水素の表面拡散係数は約10^<-20>cm^2/secであり、金属表面での値と比較して著しく小さいことが明らかになった。
|