配分額 *注記 |
20,800千円 (直接経費: 20,800千円)
1992年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1991年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1990年度: 16,700千円 (直接経費: 16,700千円)
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研究概要 |
本研究は、周期律IVa族(Ti,Zr,Hf)とVa族(V,Nb,Ta)から形成される複合炭窒化物の相平衡を熱力学的に解析することによって、炭・窒化物相互の平衡関係を精度よく計算、予測できるデータベースの作成を目的として行われたものであり、次のような研究成果が得られた。 1.(Nb,V)(C,N),(Nb,Ti)(C,N),(V,Ti)(C,N)系などの複合炭窒化物を鉄基質中に析出させ、これを化学的に抽出分離、分析することによって、炭窒化物中での2相分離の平衡組成を実測することができた。特に、(Ti,Nb)(C,N)および(Ti,V)(C,N)系では、各擬2元系に存在しない2相分離傾向が、複合化することによって顕在化し、そのため閉じた2相分離領域が組成領域中央部付近に形成されるなどの、新しい知見が明らかになった。 2.Ti,V,Nbを含むマイクロアロイング鋼における複合炭窒化物の析出挙動を明確にするために、副格子モデルを用いた熱力学計算を行った。特に、上記1.で述べた複合炭窒化物中での2相分離に留意して、熱力学パラメータを評価し、各合金元素の添加効果などを考察した。この結果、(a)Tiは主としてその熱力学的安定性から窒化物を形成する傾向が強いこと、(b)Ti,V,Nbを複合添加した場合には、主にNb炭化物とV窒化物、あるいはNb炭化物とTi窒化物の組み合せで分離することなどが明らかになった。さらにこの計算結果を、複合炭窒化物の体積分率に関する実験結果と比較したところ、両者の間には良い一致がみられた。 3.これまでに得られた複合炭窒化物に関する平衡データや既存の実験データを熱力学的に解析し、各基本炭化物や窒化物の生成自由エネルギーや、これら化合物間の相互作用エネルギーを評価した。そして、本研究で得られた解析結果をさらに実用に供するため、複合炭窒化物相互および固体鉄と炭窒化物間の平衡状態を計算するための、熱力学データベースならびに相平衡計算プログラムを開発した。
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