研究課題/領域番号 |
02403001
|
研究種目 |
一般研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学一般
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木下 實 東京大学, 物性研究所, 教授 (40011530)
|
研究分担者 |
田村 雅史 東京大学, 物性研究所, 助手 (00231423)
菅野 忠 Meiji-gakuin Univ.Associate prof.(1990) (60134657)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
30,000千円 (直接経費: 30,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1990年度: 22,000千円 (直接経費: 22,000千円)
|
キーワード | 磁性 / 磁気・構造相関 / 有機強磁性体 / 高スピン分子 / ニトロニルニトロキシド / p-NPNN / 量子効果 / 1次元強磁性体 / pーNPNN / 多形 / 有機伝導体 / 異方性 / 磁気的相互作用 / 有機ーハロゲノ金属酸錯体 / 錯体 / gー因子 / 短距離磁気秩序 |
研究概要 |
昨年度報告したように、p-ニトロフェニルニトロニルニトロキシド(p-NPNN)の斜方晶系の結晶で、化学構造や結晶構造が特定された有機物質としては、最初の強磁性体が発見できた。今年度は、この物質の磁性や熱的性質を詳しく調べ、また関連物質の磁性と構造との関係を研究した。p-NPNNに関しては、種々の磁場中での熱容量の温度変化を調べ、強磁性体特有の変化をすること、転移点以下での磁化曲線に履歴現象が見られることなどを示した。特に、米国コロンビア大学の植村教授との共同研究で、ミュオンスピン回転の実験を行い、自由磁化の温度依存性を観測し、この物質が間違いなく強磁性状態になっていることを示した成果が大きい。また、同時に磁化容易軸がb軸方向であること、等方的な3次元ハイゼルベルグ模型でほぼ説明できることが分かった。この物質の強滋性相互作用が、結晶構造とどのように対応するかについても、関連化合物の滋性と構造の研究からほぼ見当がつくようになった。一方、ニトロニルニトロキシドを2個、3個もつ多スピンの化合物についても、研究を行った。そこでは、分子内の相互作用と分子間の相互作用が競合して、極めて複雑な磁性を示すことがわかった。特に、スピンの量子効果という観点から解析を進め、大変興味ある結果が得られている。すなわち、多スピンの化合物で分子内に強い相互作用がある場合でも、分子間に弱い相互作用が働くだけで、結晶のスピン状態が大きく変化することがわかった。この研究は、高スピン分子を使って有機強磁性体を作る方法に対して、重要な示唆を與える問題を含んでいる。 この強磁性体の発見で、その研究に集中する必要が生じたために、当初予定した伝導性の有機結晶の研究は、初年度に若干行ったのみで、今後の課題として残ることになった。
|