研究課題/領域番号 |
02403005
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 保 東京大学, 理学部, 教授 (10011610)
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研究分担者 |
野々瀬 真司 東京大学, 理学部, 助手 (70212131)
永田 敬 東京大学, 理学部, 講師 (10164211)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
1990年度: 16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
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キーワード | 中性クラスタ- / クラスタ-イオン / 光解離分光法 / 電子付着 / 電子構造 / クラスタ-内重合反応 / 幾何構造 / 水素結合 |
研究概要 |
気相クラスタ-は、凝縮相にはない特徴的なある幾何構造や、電子構造を持っている。また、その特性は、クラスタ-中の構成粒子数(サイズ)によっても顕著に変化する。そのような特性を明らかにするため、光解離分光法を用いて、アルゴンクラスタ-イオンAr_n^+の電子状態と構造について研究した。400〜600nmのレ-ザ-光照射によってAr_n^+から生成する光解離イオンを測定し、Ar_n^+の吸収スペクトル、生成イオンの運動エネルギ-分布と角度分布、各生成チャンネルへの分岐比を決定した。これらの結果を理論計算と比較検討した。Ar_n^+(3≦n≦6)においては、直線型の平衡構造を持つコアイオンAr_3^+が光吸収の中心となっており、"溶媒和"しているAr原子はコアイオンAr_3^+にとって、"かご"の役割をはたしていると考えられる。光励起によってコアイオンAr_3^+の正電荷は外側のAr原子に局在し、その遷移は ^2Σ_g^+← ^2Σ_u^+と帰属される。一方、ArをN_2に置き換えたAr_2N_2^+では、[ArーArーN_2]^+のような直線型の平衡構造を持つと推定され、500nm付近の吸収帯をΣーΣ遷移と帰属することができる。 一方、クラスタ-に対する電子付着過程は、基本的な反応過程である。ここでは主として、シアン化合物から構成される水素結合クラスタ-を取り上げ、クラスタ-内振動電子親和力、クラスタ-構造などが、電子付着過程において重要な役割を果していることを明らかにした。特にアクリロニトリルクラスタ-に電子を付着した系では、中性クラスタ-の構造を反映したアニオン重合反応が起きていることを示唆する結果を得た。 以上、本研究によって、クラスタ-の持つ構造・電子状態・反応性の特徴について、その一端を明らかにすることができたと考えている。
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