配分額 *注記 |
36,500千円 (直接経費: 36,500千円)
1992年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1991年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1990年度: 28,500千円 (直接経費: 28,500千円)
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研究概要 |
ルテニウム錯体は-2価から8価までの幅広い原子価をとることができ,さらに酸素原子や窒素原子に対して非常に強い親和力を有していることから,低原子価ルテニウム錯体を用いる触媒反応では多様な反応性が期待される.申請者らは0価あるいは2価の低原子価ルテニウム錯体に特異的な触媒反応の開発を目的として検討を重ね,以下に示す3種の新規触媒反応を開発した.1)チトクロムP-450型の酸化反応.2)ルテニウム錯体のルイス酸性を利用したニトリルの変換反応.3)ニトリルのα位のC-H結合の活性化. 1)ルテニウム錯体触媒存在下第3メチルアミンをt-BuOOHで酸化すると、相当するα-t-ブチルジオキシアミンを効率良く与える.反応機構に関する検討から,本反応はチトクロムP-450類似のオキソルテニウム錯体を鍵中間体とする機構で進行していることを明かにした.ルテニウム錯体存在下,アミドやラクタムを過酸化物で酸化すると,同様にα位が選択的に酸化された生成物を与える.β-ラクタムの過酢酸酸化では,カルバペネム系抗生物質の重要な合成中間体となるα-アセトキシ-β-ラクタムが得られる.この酸化触媒系を用いると炭化水素の直接酸化を行うことができる. 2)ニトリルの水和反応は,ルテニウム錯体触媒存在下,中性条件下で当量の水を用いることにより効率良く行える.この原理を拡張すると新しいニトリルの触媒的な変換反応が可能となる。ニトリルとアミンの縮合反応はルテニウム錯体触媒存在下,2当量の水で効率良く進行し,相当するアミドを与える。本反応はポリアミド合成にも利用できる。 3)ルテニウム錯体触媒存在下,中性条件下でニトリルとカルボニル化合物とのアルドール型反応が効率良く進行する.同様の中性条件下,ニトリルは電子供与性置換基をもつオレフィンと反応し、相当するマイケル付加物を効率良く与える.
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