配分額 *注記 |
28,700千円 (直接経費: 28,700千円)
1993年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1992年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1991年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1990年度: 13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
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研究概要 |
倍数種とその祖先型低倍数種の核ゲノムの差異を分子遺伝学的手法を用いて研究し,倍数性進化の分子的基礎を明らかにするため,パンコムギとその祖先種を用いて,次の4項目の研究を実施した。 A)基盤的研究:パンコムギのゲノミックDNAライブラリーを構築し,それより選抜したプローブとして適切な約200クローンを用いて,パンコムギとスペルタコムギのF_2系統66のサザン分析を行い,普通系コムギの21種染色体に対応するRFLP座位の21連鎖群を解立した。 B)ゲノムレベルの研究:核ゲノム構成がAA,AABB,AAGG,AABBDDである4群のコムギの多数系統について,上記Aの研究において多型性が認められたクローン・酵素組合せを用いてサザン分析を行い,群内・群間の核ゲノムの変異性を定量化し,全系統を含む系統樹を作成した。 C)染色体レベルの研究:パンコムギの第2〜4同祖群に属する9染色体の多数の末端欠失系統について,上記RFLPクローンをプローブとするサザン分析を行い,各染色体のCバンド法を用いて作成された細胞学的地図と上記Aで作成したRFLP座位の分子地図との対応関係を確立した。 D)遺伝子レベルの研究:ヒストンタンパク質遺伝子,そのうちのH_3遺伝子の調節タンパク質遺伝子(以上核遺伝子),rbcL,atpA,atpE(以上葉緑体遺伝子),cox3,atp6(以上ミトコンドリア遺伝子)の構造解析などを行い,倍数種と祖先低倍種間の分子的差違を明らかにした。 以上の研究成果の総括から,4倍性及び6倍性コムギの核ゲノムの遺伝的多様度は,それらの祖先2倍種の遺伝的多様度の1/3以下であって,極めて遺伝的均一性が高いこと,及びオルガネラゲノムの変異性は,同じく2倍性レベルにおいて大きいものの,核ゲノムに比較するとその差異は小さく,オルガネラゲノムの進化的保存性が証明された。
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