研究課題/領域番号 |
02404026
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
勝沼 信彦 徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (50035375)
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研究分担者 |
唐渡 孝枝 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助手 (60108876)
木戸 博 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (50144978)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
32,400千円 (直接経費: 32,400千円)
1991年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1990年度: 26,300千円 (直接経費: 26,300千円)
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キーワード | レトロウイルス / エイズ / CD4 / トリプスタチン / トリプタ-ゼ / V3領域 / エイズウイルス / gp120 / 感染機序 |
研究概要 |
エイズウイルス(HIV)は人Tリンパ球膜上のCD4レセプタ-に結合するが、ウイルスによる膜融合と細胞内侵入プロセスにはCD4とは別の細胞膜蛋白の関与が推定されていた。我々はHIVの外膜糖蛋白gp120のV3領域と特異的に結合するCD4とは別の人Tリンパ球膜蛋白Tryptase TL_2を見出した。V3領域はウイルスの細胞性トロピズムの決定や膜融合に関与し、この部位に対する抗体は強いウイルス中和活性を持つことから、HIVの感染機序の解明と、HIVの治療の面から注目されている領域である。 Tryptase TL_2はプロテア-ゼ活性を持ち、V3領域はそのインヒビタ-として両者は結合していると思われる。またV3領域と類似の構造をその活性中心に持つKunitz型インヒビタ-のトリプスタチンは、HIVによる細胞膜の融合を阻害した。このTryptase TL_2とgpl20との結合の解離定数は、Kd=3.8×10^<ー8>Mで高い親和性を示した。なおTryptase TL_2は32kDaと28kDaの二つのサブユニットからできており、32kDaのサブユニットは細胞膜の外側に向かって露出し、このサブユニットに対する抗体は、gp120との結合を阻止すると同時に、ウイルスによる膜融合を抑制した。以上のことからTryptase TL_2はV3領域に対するレセプタ-として作用していることが推定された。さらにTryptase TL_2Fgp120のV3領域以外に、もう1つのウイルス外膜糖蛋白gp41の膜融合領域とも結合し、この結合はTryptase TL_2とgp120との結合の解離を誘導することが最近明らかになった。このことはHIVとTリンパ球膜上のCD4レセプタ-との結合から、細胞内侵入に至るまでの過程で、Tryptase TL_2はgp120のV3領域との結合からgp41の膜融合領域との結合におきかわる可能性を示唆する。今後HIV感染における、Tryptase TL_2の膜融合プロセスでの役割をさらに明確にしてゆかなくてはならない。
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