研究分担者 |
小河原 緑 (財)東京都老人総合研究所, 神経生理部門, 研究助手
金丸 和富 (財)東京都老人総合研究所, 神経生理部門, 研究員 (10214488)
森島 真帆 (財)東京都老人総合研究所, 神経生理部門, 研究員 (50204722)
森 啓 (財)東京都老人総合研究所, 神経生理部門, 研究員 (10159189)
|
研究概要 |
PHFにはtauが主要構成成分として知られている。tauに対する抗体を用いるとtangle,senile plaqueの他にcurly fiber(neuropil threrd)と呼ばれるneuriteの変化が広範囲にわたって存在することがわかった。Curly fiberは連合野の第3,5層の錐体細胞層に密に存在する。curly fiberは主に錐体細胞のsomaおよびdendriteと連続性があることがわかり,curly fiberは錐体細胞のsomato dendritic sproutと解釈された。 本研究の目的はこの仮説を生化学的に検証することである。もし以上の仮説が正しいとするならば,「再生過程は発達過程を繰り返すという一般原理からAD脳には胎児性抗原が多量するはずである。PHFに対するモノクロ-ナル抗体を調製し,それらが新生児ラット脳にのみ存在するタンパクと反応するかどうか検討した。その結果、2つのPHF抗体の存在が明らかとなった。第1はブロット上可溶性画分に存在する300kDのタンパクを認識し,他は,ブロット上70kDのタンパクを認識した。いずれのものもnew born ratに特異的でありadult rat brainには認められなかった。前者は微小管結合タンパク質の一つであるMAP5(MAP1B)のphosphorylated formであることが判明した。後者は,精製後一部の部分シ-クエンスを得たがdatabaseの解析から既知のタンパクではないことが判明している。 もしCurly fiberが神経細胞体から外へ向かって伸び出したものであるならばPHFのtauのprocessing,modificetionの場所による違いが出てくるはずである。tauのN,C末端に対するポリクロ-ナル,モノクロ-ナル抗体,抗ユビキチン抗体(tauのC末端をラベルするらしい。)を用いdouble labelsをしconfocal microscopyで組織像を検討した。その結果,細胞体内のtangleはN末端切分が除かれているようであり、抗ユビチキン抗体はCurly fiberの近位側の中途から反応がみられた。以上のdataはcurly fiberが縮少しているものでなく成長していることを強く示唆するものである。
|