研究分担者 |
高橋 康郎 (財)東京都神経, 科学総合研究所・心理学研究部門, 研究員 (00073057)
岡崎 輝江 (財)東京都神経, 科学総合研究所・心理学研究部門, 主事研究員 (70223998)
本多 芳子 (財)東京都神経, 科学総合研究所・心理学研究部門, 主事研究員 (50142154)
臼井 節夫 (財)東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 主事研究員 (30160253)
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研究概要 |
非24時間睡眠覚醒リズム症候群・睡眠相後退症候群などの同調機能に異常のある〓日リズム障害に臨床的有効性が報告されているビタミンB_<12>の奏効機序を解明する目的で,ラット行動〓日リズムの恒常条件下での自由継続周期(γ)と,リズム同調因子である光に対する感受性を検討した。B_<12>にはメコバラミンを用い,これを1mg/kg含有する過剰食と全く含有せぬ欠乏食をラットに与え,血清B_<12>濃度を指標として高B_<12>状態と低B_<12>状態を作り,上記のリズム特性を比較した。 1.γに及ぼす効果:恒常赤色薄明条件下で約1年間B_<12>過剰食または欠乏食を与え,輪廻し行動・自発運動・飲水行動のγを比較する実験を3種類おこなったが,高B_<12>状態では低B_<12>状態に較べてγが短縮する場合があったが,全体としては有意差にならなかった。B_<12>欠乏食を長期投与した低B_<12>状態で,B_<12>を皮下注入し血清B_<12>濃度を急激に上昇させるとγ短縮が認められたが,加齢によるγ短縮を除外できなかった。 2.光感受性に及ぼす効果:光パルスに対する位相反応曲線は,高B_<12>状態では低B_<12>状態に較べ位相前進部分が大きいという差異が認められた。これは明暗サイクルの位相前進に対する行動〓日リズムの再同調に要する日数が,高B_<12>状態では低B_<12>状態より短いという実験結果と一致する。リズムが同調可能な24時間明暗サイクルの下限照度は,調節可能な下限である0.02luxまででは,高B_<12>状態・低B_<12>状態ともに同調できることが判明し,差異が検出できなかった。リズムが同調可能な明暗サイクルの同期の範囲に関する実験は,まだ完了していない。 1,2の結果からB_<12>の奏効機序を推測すると,B_<12>は〓日系の光感受性を高めることによって〓日リズムの同調を促進するのが主作用と思われるが,一部にはγ短縮作用によって24時間環境サイクルへの同調を容易にしている場合もあるらしい。
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