研究課題/領域番号 |
02404080
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人類遺伝学
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研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
中村 祐輔 癌研究会, 癌研究所・生化学部, 部長 (70217909)
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研究分担者 |
土屋 永寿 癌研究会, 癌研究所・病理部, 研究員 (00072314)
北川 知行 癌研究会, 癌研究所・病理部, 部長 (50085619)
時野 隆至 癌研究会, 癌研究所・生化学部, 研究員 (40202197)
佐藤 孝明 癌研究会, 癌研究所・生化学部, 研究員 (30225958)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
17,700千円 (直接経費: 17,700千円)
1991年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1990年度: 10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
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キーワード | 染色体地図 / 腎癌 / 乳癌 / 染色体転座 / RFLP |
研究概要 |
癌における癌抑制遺伝子の異常は一般的に一方の染色体側の欠失と他方の染色体側の小さな変異(点変異や小さいDNA断片の挿入・欠失)として認められる。したがって、対象とする腫瘍組織において欠失している染色体部位を詳細に検討することにより、その腫瘍の発生に関与する癌抑制遺伝子の存在する位置を同定することが可能である。われわれは肺の非小細胞癌の発生に関わる癌抑制遺伝子を単離することを目的として49例の腺癌・18例の扁平上皮癌におけるヒト第3染色体短腕領域の欠失について、19のRFLPマ-カ-を利用して調べた。この結果、49例の腺癌のうち33例(67%)がこの染色体の欠失を起こしていたことが明かとなった。また、比較的多くの症例がこの染色体の一部分だけを欠失していることがわかった。さらに複数の腫瘍に共通して欠失している領域は3p21.3と3p14.1ー21.1の2領域であることが同定され、第3染色体上には肺の腺癌の発生に関与する癌抑制遺伝子は少なくとも2個存在すると推測される。さらに、染色体欠失の頻度とステ-ジを比較したところ、ステ-ジ1・2では30例中17例が欠失していた(57%)のに対し、ステ-ジ3では19例中16例(84%)の高頻度の欠失を認めた。また、病理学的分化度との対比では高分分子化癌では22例中12例(55%)の欠失頻度であったのに対し、未分化癌では7例中7例とも欠失していた。このことから、第3染色体上の癌抑制遺伝子の異常は肺腺癌の増悪因子としてとらえられるのではと考察される。また、扁平上皮癌では18例すべてにおいて、第3染色体短腕の欠失を認め、欠失領域も腺癌と比べて大きな領域であった。したがって、どの染色体の部位に問題となる遺伝子が存在するかを特定することはできなかった。今後は、さらに用いるRFLPマ-カ-の数を増やして、多数のサンプルを調べ、遺伝子の単離を目指したい。
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