研究概要 |
〔目的〕 本研究は、平成2年度の科学研究費補助金により購入したX線骨密度測定装置(Hologic,QDR1000)を用い、骨粗鬆症予防を目的に,骨密度に対する食生活および身体活動の効果を検討した。 〔対象・方法〕 1)文京区在住で節目健診受診者のうち709名:年齢40,45,50,55,60歳 2)20代女性105名 調査項目:(1)腰椎骨塩定量(第1腰椎〜第4腰椎),(2)体格調査(身長,体重,体格指数(kg/m^2),体脂肪(インピ-ダンス法)),(3)栄養摂取状況調査(3日間食事記録),(4)アンケ-ト(身体活動状況,骨折の有無,月経状態,出産回数,授乳期間,牛乳摂取習慣) 〔結果〕 1)腰椎骨密度は、40〜60歳において加齢に伴い有意に減少した。特に閉経直後の減少が著しかった。また、骨密度は、現在日本で用いられている健常日本人女性の値に比し,40〜60歳では有意な高値を示したが、20歳代では、ほぼ同レベルであった。 2)骨密度に対し、体重および体格指数(BMI)は有意な正相関を示したが、体脂肪率と骨密度には相関は認められなかった。 3)3日間の食事調査より算出したカルシアム摂取量は、年齢が高くなるにつれて多くなる傾向があったが、全ての年齢で所要量未満であった。 4)現在運動習慣のある人の割合は、40歳代に比し50歳代および60歳代で多い傾向にあった。さらに現在運動習慣のある人は、全く運動習慣のない人に比し、骨密度は有意な高値を示した。 以上の結果から、食生活に対する高い意識と身体活動は、骨粗鬆症予防に対する重要な予防手段であることが示唆された。
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