研究分担者 |
伊藤 晴明 島根大学, 理学部, 教授 (80032423)
大西 郁夫 島根大学, 理学部, 教授 (40032445)
徳岡 隆夫 島根大学, 理学部, 教授 (30025358)
橋谷 博 島根大学, 理学部, 教授 (00156267)
井上 寛司 島根大学, 法文学部, 教授 (40027967)
片桐 成夫 島根大学, 農学部, 教授 (00032649)
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研究概要 |
山陰地方における古代金属(銅と鉄)生産については,斐川町荒神谷遺跡から出土した大量の弥生青銅器がどこで製造されたのかという問題、古代出雲を中心として山陰地方では早くから砂鉄を利用した鉄生産が行われていたのではないかという問題が論議され,研究者・市民ともに注目してきた。このような問題の解明は,神話伝承に彩られた出雲とその周辺の古代史にとって最大の謎、つまり古代地方政権の中味と特徴を明らかにするものとして大きな関心が寄せられているのである。 第1の問題に関するわれわれの研究成果は以下の2点に要約される。 1)最大の関心事は,山陰地方とりわけ荒神谷遺跡近辺で青銅器生産が行われたのか否かということである。この点では弥生時代には出雲地方で実施されたことを証明できなかったが,少くとも7〜8世紀代に青銅生産があったことは十分伺うことができた。2)現地生産を可能にする条件として山陰地方,わけても島根半島には銅鉱石が豊富で,とくにそれが自然銅として存在することを確認できた。 第2の問題に関する研究成果は次の通りである。1)山陰地方における製鉄の開始は6世紀後半である。しかしこの段階ではあまり普及していたとは考えられず,一般化して広がるのは7世紀以降と思われる。2)にこれらの初期鉄生産は砂鉄を原料としている。3)として、砂鉄を溶融する炉は箱形炉である.4)これらの鉄生産は鳥取県大山山麓一帯,島根県中海・宍道湖の沿岸,奥出雲地方,江の川中流地方で盛んであったようだ。5)初期の鉄生産から道具の製作にいたる過程が一応完結状態になるのは7世紀以降であり,それ以前には他地から鉄素材を導入し,これを精錬して刃物や武具に加工したものと思われる。鳥取県岩吉遺跡からは5世紀代の精錬遺と鍛治遺物が発見された。山陰地方における古代金属生産は本研究によっていよいよ本格化しようとしている。
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