研究課題/領域番号 |
02451059
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
中国語・中国文学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
村上 哲見 東北大学, 文学部, 教授 (70005734)
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研究分担者 |
成田 静香 (成田 靜香) 東北大学, 文学部, 助手 (00237603)
和田 英信 信州大学, 教養部, 助手 (20231037)
花登 正宏 東北大学, 文学部, 助教授 (60107175)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1992年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1991年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1990年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 詞 / 宋詞 / 文人 / 宋代文人 / 江南文人 |
研究概要 |
「文人」なる存在は、中国の各時代においてその文化的側面を荷う階層として重要な役割りを果して来た。文人生活の「一通りの典型」が漢魏六朝の間に備ったこと、および文人趣味の様相が宋代になるとかなり変ってくることなどは、かつて青木正児博士の指摘する所であるが(「中華文人の生活」、1947。「宋人趣味生活の二典型」、1951)人間類型としての「文人」は宋代において完成の域に至ったと言い得るであろう(拙稿「雅俗考」1983参照)。しかし更に考察を深めるならば、宋代の中でも、北宋から南宋に至る間に相当な変容を示す。一方、詞なる韻文様式は、唐代の通俗歌謡に由来するが、宋代において韻文文学の一様式として成熟するばかりでなく、南宋になると、趣味の高雅を誇る文人たちの重要な自己表現の様式となり、本来の性格とは奇妙な矛盾を示す。こうした宋詞の複雑な展開が、この様式の主たる荷い手であった文人階層の変容と無関係であるはずはない。本研究計画はこの点に着眼して出発し、南唐後主李〓および蘇軾(東坡)を例として五代,北宋の間の「文人」の特色を考察し,更に南宋の代表的詞人・姜〓(白石)の人物および詞を考察した。そしてこの人こそ「文人」なる人間類型を極めて純粋なかたちで具現した。典型的「文人」といい得ること、かつその詞が、詞なる韻文様式の最も洗練されたすがたの一方を代表すること、更にこの両者が不可分の関係にあることなどを明らかにした。論文「姜白石詞序説」は本研究計画の成果の中心を成すものである。また附随的成果としては、旧来多くの議論のある詩と詞の差異の問題について、士大夫と文人という人間類型とその表現様式という観点を導入して、その差異を明確に浮び上らせたことおよび南宋滅亡後の江南文人の生き方を考察して多くの新知見を得たことなどが挙げられる。
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