研究概要 |
1.400ー500GHzサブミリ波分光法の開発 分光法の実効的な感度を向上させる一つの方法として、分子の遷移強度が大きくなるサブミリ波帯での感度の向上が考えられる。これまで我々は400GHzまでの高感度分光をおこなってきた。本研究では、500GHzまで使用可能な4倍周波器を導入するとともに、500GHz以上の周波数領域での分光の可能性を検討した。4倍波の他に5倍波の出力を用いての分光を試みた結果、4倍周波器として指定された周波数帯の端付辺に対応する基本波の5倍波出力が比較的大きいことを見出した。すなわち、5倍波としては、565ー585,615ー635GHz帯では、ある程度の感度で分光が可能なことが判明した。この結果は、適当な出力源を欠いているサブミリ波帯での分光法として意味があると考える。 2.星間分子関連分子のミリ波サブミリ波分光 (1).新星間分子の発見.野辺山宇宙電波観測所45m電波望遠鏡により暗黒星雲TMCー1及び炭素星周辺雲IRC+10216から見出していた数本の末同定線を、新しい星間分子CH_2CC,CH_2CCCに同定した。また、外国の電波望遠鏡(IRAM,NRAO)の観測結果によると、以前我々が実験室においてスペクトルを明らかにしていたHCCN及びSiNラジカルが新しい星間分子として同定された。 (2).含シリコン分子の分光.SiH_4,C_2H_4,CO混合気体の放電プラズマ中に、環状C_2H_2Si,CH_2Si,HSiOが存在することを,それらの分子のミリ波サブミリ波スペクトルを検出、同定することにより初めて明らかにした。スペクトルを解析の結果、CH_2Siの横ゆれ振動が約270cm^<ー1>と極めて低く、CH_2Siがフロッピ-な分子であることが明らかになった。HSiOの水素核の超微細構造の解析から、HSiOがδラジカルであることを示した。
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