研究課題/領域番号 |
02452037
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神野 賢一 京都大学, 理学部, 助手 (80024339)
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研究分担者 |
林 哲介 京都大学, 教養部, 教授 (80026799)
加藤 利三 京都大学, 理学部, 教授 (20025282)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1991年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1990年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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キーワード | 緩和励起子(STE) / アルカリハライド / ルミネッセンス / 電子・格子相互作用 / 格子緩和 / 励起三重項 / 零磁場分裂 / オフ・センター効果 / オフ・センタ-効果 / 緩和励起子 |
研究概要 |
従来、アルカリハライドの固有発光は「σ発光」と「π発光」の二群に分類されているが、そのスペクトルは結晶の種類によって様々な特徴を示し、これまでに膨大な研究が各国で行われてきたにもかかわらず、その物質依存性を整合的に理解することは長年厚い壁に阻まれていた。しかし、本研究によって固有発光帯はストークス・シフトの違いに基づく三群に分類すべきことが見出され、それらの始状態であるSTEには、少なくとも三種類の異なる緩和形態が存在することが判った。これらは、局所的に安定な三つの配置(on-center、weak off-center、strong off-center)に対応させることができる。このような観点に立つと、発光スペクトルの物質依存の様子も、個々の結晶におけるSTEの緩和形態としていずれの配置が安定構造をとるか、という断熱不安定性のEnergeticsとして捉えることが可能である。 本研究の意義は大きく次の二つに纏めることができる。一つは、固有発光帯が三つの型からなることを発見し、これらが個々の物質で多様な現れ方をみせる状況を結晶構造パラメーターと関連づけて解析・整理したことで、その結果、格子緩和エネルギーと遷移双極子強度の双方について、簡明な法則性を見つけ出すことができた。他の一つは、これまで励起一重項状態からの純粋な蛍光と考えられていたσ発光帯に、長寿命の燐光成分が含まれていることを発見し、緩和励起子の発光機構の新しいモデルを提案したことである。それはσ帯を含むすべての固有発光が、最低エネルギーの断熱ポテンシャル面の異なる局所安定点から生ずるというもので、多様なスペクトルを統一的に記述することが初めて可能になったと言える。
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