研究課題/領域番号 |
02452043
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
唐沢 力 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (90106336)
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研究分担者 |
飯田 武 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047191)
赤井 一郎 大阪市立大学, 理学部, 助手 (20212392)
小松 晃雄 大阪市立大学, 理学部, 教授 (90047134)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1992年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1991年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1990年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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キーワード | 層状結晶 / 沃化ビスマス / 積層欠陥励起子 / 光学的シュタルク効果 / 非線形電気感受率 / 量子閉じ込め効果 / 縮退四光波混合 / 位相緩和 |
研究概要 |
層状結晶の中で重金属沃化物結晶が持つ強い励起子遷移は諸種の非線形光学効果発現に重要な要因となる。本研究では、層状結晶中の積層不整などに低次元に閉じ込められた励起子遷移系を中心的に研究し、いくつかの非線形光学応答の機構を明らかにした。また励起子系の光強励起の基礎過程を理論的に調べた。得られた主な結果を以下に記す。 1.Bil_3結晶中積層欠陥に局在した低次元励起子系を光強励起してピコ秒に到る時間域でのポンプ-プローブ法による過渡吸収を調べた。 (1)励起光電場による光学的シュタルク効果が明瞭に観測された。それを“光子の衣を着た励起子モデル"で解析した。この系特有の大きな電気双極子能率を反映した非線形電気感受率が得られた。 (2)励起光電場の切れた後も、高密度に実励起されたこの励起子系での相互作用が二次元系特有のスペクトル変化をもたらした。 (3)縮退四光波混合信号によりこの系の位相緩和を調べた。弱励起ではバンド内の音響モードフォノンによる散乱が、強励起では励起子間相互作用が位相緩和の主要因であり、これらの緩和機構が非線形光学応答の時間域を支配していることが定量的に明らかになった。 (4)この系で高密度励起子相と共存して励起子分子が安定に存在することを見いだした。またこの系に共鳴した光双安定性の発現を観測した。 2.以上の非線形光学効果以外に、Bil_3,Sbl_3結晶で誘導ラマン散乱を観測した。またSbl_3では、静水圧誘起により低次元閉じ込め励起子状態が安定化することを見いだし、低次元励起子遷移発現の知見が得られた。 3.直接遷移型半導体中に光強励起された電子-正孔系を理論的に調べた。遮蔽されたクーロン相互作用を通じた多体効果により、低密度の励起子ガス状態と、高密度でのBCS状態が、励起光エネルギーに対し双安定性を示すことが明らかになった。得られた知見を基にして、低次元に閉じ込められた高密度励起子系へのこの理論の適用の道筋が開かれた。
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