研究概要 |
交付申請書に述べられているように,これまで固体主として金属や有機化合物(組織等価プラスチック,マイラー等)の阻止能の精密測定を行い多大の成果を上げた。 本課題のガスの阻止能の高精度測定(これは1%以下の精度で,世界的に最とも高い)をはじめるに当り平成2年度はまず測定機器(圧力計,温度計及びエレクトロニクス関係)を買い求めた。平成3年度は,ガスチェンバーの開発・製作に,手造りの部分も多々あり多大の時間を費やした。それでも平成4年度のはじめには一応必需品は入手・完成した。 ところで本番のガスの阻止能測定にかゝる前にこれらの装置が全体として当初の目的の精度で作動するかどうかをテストすることが先決と考えた。 そのテスト実験として,2つのチェンバーのうち,一方のチェンバーの窓にTaをとりつけ(チェンバーの中は真空),他のチェンバーの窓は開いたまゝにして4.5〜18MeV陽子に対するTaの阻止能を測定した。この方法は,原理的には従来から使用している“absorberwheelTechnique"による金属箔の阻止能測定方法と同じになるはずである。従ってその誤差も〜0.3%と期待できる。結果は,〜0.3%の精度でTaの阻止能を得ることができた。又その結果をAndersenらのRisφdataと比較したところ,以前我々が測定したAuやAgのdataの傾向と一致した。かようにして,このtest実験から今開発・作成した装置は当初のもくろみ通り作動する見通しがついた。又このテスト実験によるTaの結果は,Taの阻止能のエネルギー依存性のdataとして充分な知見が得られるものであった。 未だガス圧力計の精度を最大限にひき出すための努力など,種々の困難はあるけれども,今後はガスtargetにして,その阻止能の精度測定を行い,精度の高いdataを得るよう努力する。
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