研究概要 |
一方向炭素繊維強化熱可塑性樹肪(ポリエ-テルエ-テルケトン)積層板のクリ-プおよび高温疲労条件下層間はく離き裂伝ぱ試験および炭化けい素ウィスカ強化アルミニウム合金のクリ-プ疲労試験を行った.得られた結果は以下のように要約できる. 一方向炭素繊維強化熱可塑性樹脂積層板 1.クリ-プはく離き裂は,小規模クリ-プ状態下で繊維と母材の界面を伝ぱする.これは炭素繊維によって母材のクリ-プ変形が拘束されるためであり,複合材料に特徴的な現象である.また,き裂伝ぱ速度は弾性エネルギ-解放率によって整理できる. 2.高温疲労はく離き裂伝ぱは,時間依存性のものと繰返し数依存性のものに大別できる.前者はクリ-プき裂伝ぱと同様の機構によるものであり,時間に対するき裂伝ぱ速度は弾性エネレギ-解放率に支配される一方,後者は室温疲労き裂伝ぱと類似の機構と考えられ,応力繰返し数に対するき裂伝ぱ速度は弾性エネルギ-解放率範囲に律速される.また前者ではき裂は繊維と母材の界面を伝ぱするのに対し,後者では主に界面近傍母材中を伝ぱする傾向が認められた. 3.無荷重保持を有する高温疲労条件下では,それのない疲労と比較してき裂伝ぱは著しく減速された.この現象は金属では認められない.樹脂(母材)単体の高温疲労変形試験より,減速の原因は無荷重保持期間中にクリ-プひずみが回復されるためであることが判明した. 炭化けい素ウィスカ強化アルミニウム合金 1.金属基複合材料に対する高温疲労試験方法を確立した. 2.応力保持クリ-プ疲労変形試験より保持応力とクリ-プひずみの間にはべき乗則が成立することを明らかにし,その関係を求めた.
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